フィリップス氏、サン買収の意義をほのめかす
「我々は年間で30億ドルを研究開発に投資している。Oracleはイノベーションの基盤を持っており、これまで研究開発費を減らしたこともない。実体経済の環境が悪化しても、この領域への投資は継続する。また、当社は技術革新を補完するために買収合併を行っている。これによってOracle以外のイノベーションを活かすことができる。この5年間に55社を買収してきた。今週の初めにも興味深い発表をした。これからも買収は続ける」
Sun Microsystemsの買収に言及したのはこの一点だけだったが、やはり新たな技術がグループに加わることへの期待をにじませているようだ。
繰り返された言葉「標準技術」「標準化」
Oracleが買収合併に注力するのはイノベーションを重視するからだけではない。
「Complete(完全性)」「Open(オープン性)」「Integrated(統合化)」の3つがこの戦略の背景にある。
アプリケーションからデータベースまで、事業活動で利用されるITの要素をほぼ全てOracle製品で用意する。これら一貫性のある標準技術で裏づけられている製品群を提供することが、顧客企業に対してもたらされる価値をより大きくできるとの意図が「Complete」には込められている。
「Open」は「Complete」を支える柱となる。「スイート製品をつくるうえで重要になるのはOpenだ。(スイートに含まれる)製品同士は相互運用性がなければならない。標準化が鍵になる。標準化によってコストを下げることもできる」
だからこそ「Oracleは標準化につとめてきた」わけだ。
「Oracleにも以前は一貫性のないシステムが存在したが再構築した。55社もの企業を買収して、統合していけたのは複雑なシステムがないということを示しているともいえる。複雑性は使える情報も限られてくる」
「Complete」「Open」を標榜すれば「Integrated」が必要になるのは自然な流れ、あるいは「表裏一体」といえるかもしれない。
フィリップス氏は、「これまでは小さな企業がさまざまなコンポーネントを市場に投入し、ユーザー側はそれらの中から製品を選択。各自で統合して利用していた」と語り、そのような統合にかけなければなら時間は減らすべきだと主張する。あらかじめ統合が完了していれば、導入企業は余計な時間やコストを抑えられるからだ。
これらの基本戦略の基盤となっているのは、フィリップ氏が講演中に何度となく繰り返し強調した「標準技術」「標準化」だ。ソフトウェアの将来は「標準」により開かれるものだという。
フィリップ氏は今の状況を「ベストプラクティスに踏み出した」と表現し、講演の最後に次のように述べた。
「既製品をこそ使う時代が来ている。アプリケーションを1から構築して独自仕様で固めてしまうのではなく、競合相手との差別化につながる点にだけ注力すべきだろう。我々は業界を変えるための手助けをしていきたい」