Oracle OpenWorld Tokyo最終日の基調講演にはOracleの社長、チャールズ・フィリップス氏が登壇した。
「Complete. Open. Integrated. - Oracle's Strategy to Bring Value to Your Business お客様を理解し、価値を届ける - エンタープライズ・ソフトウェアのあるべき姿」と題し、依然厳しいビジネス環境の下でITには何ができるのか、また、ソフトウェア業界の今後の方向性などについて語り、同社の構想と戦略を紹介した。
正確な情報で判断する企業が勝ち残る
フィリップス氏は「情報化時代」について「企業が扱う情報の量は大幅に増大している。ネットワーク環境の進化や、データの維持と保管の期間も延びていることなどから、(企業が抱える)情報は爆発的に増えている」と述べる。
だが、それらのデータはさまざまなシステムに分散されているため、「分析したり意思決定のために利用することが困難になっている」という。
そこで「情報へのアクセスが重要になる。競合相手も同じようなことをしている。競争状態のなか、憶測ではなく正確な情報をもとに判断することのできる企業が勝ち残れる」と語る。
IT業界はかつて、OS、チップ類、データベース、アプリケーション、メインフレーム、ミニコン、パソコンなど、それぞれ独自の技術によるものが個別に並んでおり、それらは「サイロ化」していた。これでは全体的な発展の可能性は小さくなる。
「業界でナンバーワンの自動車メーカーは部品の数を減らし、いくつかの部品を複数の車種で流用するために共通化している。システムの場合も何千、何百のコンサルタントに頼らなければ使えない――そんなシステムではいけない」
Oracleは「標準技術の採用を重視し、1からスタートするのではなく、成功している実績があるものやベストプラクティスを取り入れて活用してきた。経済環境も厳しい状況にあり、カスタマイズされたものでなく既に市場にある実証済みの技術、いわば職人芸ではなく容易に再現可能なプロセスをたどっていきたい」。
標準こそがOracleの原動力といえる。
成長戦略支えるイノベーションと買収合併
同社の成長を支えてきたもののなかでも、特に重要なのはイノベーションと合併策だ。ここでフィリップス氏はOracleによるSun Microsystems買収に触れた。