イタいのは「自分」を分かってない自分--客観的に自分を知る方法 - (page 3)

梅田正隆(ロビンソン)

2009-06-05 14:56

 プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントのフレームワークも、2軸のマトリックス平面を用いる。縦軸には「市場成長率」、横軸には「相対市場シェア」を設定する。相対市場シェアの軸の高低の向きが、逆になっている点に注意していただきたい。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントのフレームワーク プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントのフレームワーク

 製品Xはこの4象限のどこに位置するだろう。製品Xは、企業のITサービスマネジメントにITILのプロセスの実装を支援する総合スイートツールだ。製品自体の評価は業界トップクラスで、市場シェアでは第2位に位置している。ただ、国内の営業力が弱いため、第1位の製品には差を徐々に広げられている。

 また、製品Xは従業員1万人程度の大企業をターゲットとする。統計局のデータによると、日本において5000人以上を雇用する企業数は約380社。市場自体が大きいとは言えず、しかも同ツールの市場そのものが活況であるとか、今後大きく成長していく市場であるとは言えない。従って市場成長率については、伸びても数%程度。

 ということは、横軸の相対市場シェアは中央からやや右寄り(中央値はトップ企業とシェアが同じとき)、縦軸の市場成長率は、中央からやや下寄りに位置づけられる(中央値は10%の成長率/年とする)。その結果製品Xは「負け犬」と判断できる。

「製品X」のポジショニング 「製品X」のポジショニング

 製品Xは、同ツール市場におけるリーダー的製品であるものの、経営的に見ると売却等の判断が求められる製品として位置づけられる。ただ、買収コストをある程度回収するまで手放さない、という判断もあるだろう。

 さて、製品XのプリセールスエンジニアだったA氏の話に戻ろう。製品Xにおけるフレームワークを使った分析を元に考えれば、時間的な余裕は多少あるだろうが、今後製品Xに依存した技術スキルだけではリスクが大きいと判断できる。そのため、A氏は現在の高い製品スキルを犠牲にしてでも、早急にマネジメントスキルを獲得する方が賢明だろう。

A氏が目標とすべきポジショニング A氏が目標とすべきポジショニング

 さて、あなたのポジショニングはどうなるだろうか。現在、あなたが置かれているさまざまな状況について、今回紹介した「フレームワーク」を使って分析してみていただきたい。きっと、これまで「何となく」分かった気になっていたことが、より明確にイメージできるようになるだろう。

 次回は、「ライバル」との関係について戦略的に考えてみよう。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

関連記事

関連キーワード
経営

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]