Microsoftは7月13日に米国で開幕した「Worldwide Partner Conference(WPC)」にて、約6000人のパートナー企業の出席者に対し、「プライベートクラウド」の位置づけとパートナー企業向けの計画を紹介している。
Microsoftの代表者は以前、クラウドOS「Microsoft Azure」を顧客のオンプレミスサーバ上で動かすことはできないと述べていた。Azureを動かすことはできないが、「Windows Server」「System Center」「Hyper-V」やその他のMicrosoft技術の最新機能の多くを利用すれば、ユーザーは自社で「プライベートクラウド」を構築できる、というのがMicrosoftの説明だ。
MicrosoftはWPCの会期中、「Dynamic Data Center Toolkit for Enterprise」を披露する計画だ。プライベートクラウドのファクトシート(本日までMicrosoftのウェブサイトに掲示されていたが、現時点ではなくなっている)によると、同製品は当初2009年末までに出荷を予定していたが、現在2010年前半に延期されている。「パートナー企業が拡張できる無償のツールキットで、データセンターでリソースの動的なプール、配分、管理することでITをサービスとして提供できる」という。Microsoftはすでに、ホスティングパートナー向けのDynamic Data Center Toolkitを提供している。
Enterprise版は、エンタープライズ顧客、システムインテグレータ、ISV向けのものとなる。Microsoftのウェブサイトによると、ツールキットにはアーキテクチャロードマップ、実装ガイダンス、ベストプラクティス、ツール(既存のアプリケーションをクラウドに移行するのを支援するツールか?)、それに「パブリッククラウドとの相互運用性」を提供するという名称のない技術が含まれているという。
Microsoftは、プライベートクラウド向けとパブリッククラウド向けのソリューションの違いを明確にしようとしているようだ。仮想化関連のサイト内にあるプライベートクラウド関連情報で、Microsoftはオンプレミスとオフプレミスのデータセンターの定義を以下のように明確にしている。
プライベートクラウド--内部サービス主導型環境で、パフォーマンスとコストに最適化されており、顧客のデータセンター内で実装される。Windows ServerやMicrosoft System Centerファミリ製品群などのパッケージサーバ製品を利用して構築、既存アプリケーションとの互換性もある。
パブリッククラウド--サービスプロバイダが提供するクラウドで、顧客にサービスの実装と利用を提供する。このカテゴリにおいて、Azureは拡張性が高いサービスプラットフォームで、顧客はMicrosoftのデータセンターから従量課金ベースで柔軟性を得られる。
Microsoftやパートナーのサービスを利用するのではなく、自社データをホスティングしたいデータセンターユーザーには、Azure OSそのものは提供しないということになる。一方で、Microsoftはオンプレミスとホスティング型の両アプローチの類似性を強調しており、サイトの最後に下記のような説明を掲載している。
顧客が自社の機器を管理しサービスを配信するツールを提供することで、Microsoftは顧客にクラウドコンピューティングの土台技術を提供する。
Microsoftは、既存データセンターソフトウェアを「プライベートクラウド」対応として再度ブランディングしているだけだと思いますか?それとも、Microsoftのプライベートクラウドツールとソフトウェアは、AmazonやGoogleに先行するものだと思いますか?
関連したニュースとして、MicrosoftはAzureの価格とライセンス情報を米国時間の7月14日、WPCで発表する計画だ。
(Oakleaf SystemsのRoger Jennigs氏に、Microsoftのクラウド情報サイトへのリンクを教えてもらった。)
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ