ネットをググる感覚でBI?--キーワード検索で分析の難しさを克服したSAPのBIツール - (page 2)

梅田正隆(ロビンソン)

2009-08-07 19:00

 SAP BO Explorerを用いた高速なデータ処理を支えているのが、SAP NetWeaver BW Acceleratorである。SAP BO Explorerは、データの保管庫としてのインメモリデータベースを持つSAP NetWeaver BW Acceleratorとセットで構成される。このデータベースが、SAP NetWeaver BWの純粋なBIクエリ性能と比較して、10倍から100倍以上のパフォーマンスを生み出しているという。

「SAP BO Explorer」と「SAP NetWeaver BW Accelerator」のアーキテクチャ 「SAP BO Explorer」と「SAP NetWeaver BW Accelerator」のアーキテクチャ

やっと出てきた「簡単に使えるBIツール」

 SAP BO Explorerは、何らかの異変について気付きを与え、現場においてどこに原因があるのかを探索するツールである。また、SAP BusinessObjectsのBI専門ツールと同じインフラの上で利用できる。塚本氏は「このインフラはERPと密接に連携するため、業務系のワークフローの中にSAP BO Explorerを用いた分析が含まれるようになる」と説明する。 

 分析結果は、メール送信、ブックマークへの保存、Excel形式でのエクスポートといった方法で他のメンバーと共有でき、組織の壁を越えた情報共有を促進する。

 SAP BO Explorerの導入に当たって、情報システム部門の負荷はそれほど高くないと塚本氏は言う。データの上にツールを乗せるだけのイメージで、従来のBIのように、帳票のレイアウトを作成したり、分析に必要な多数の「軸」を設定する作業は必要ないとする。

 SAP BusinessObjects担当部長である久保良太氏は「思いついた単純なキーワードから次々に分析を進められるのが最大の特徴。これまでの自由分析ツールは、“誰でも使える”と言いながら、そのトレーニングに5日間必要などということも珍しくなかった。SAP BO Explorerは従来の自由分析ツールとは全く違う」と話す。

 なお、SAP BO Explorer には、SAP NetWeaver BW Acceleratorとのセットではない、SAP BusinessObjectsのプラットフォーム上で単独で動作する製品もある。

 SAP BusinessObjectsを使っていた顧客は、データマート的な「Universe」を用いて分析を行う。中には数百ものUniverseを持つ企業もあり、Universeを管理するだけで運用コストがかかってしまうこともある。塚本氏は「SAP BO Explorerがあれば、これらのUniverseの中から、必要なデータを、キーワードを用いて瞬時に見つけることができる」と話す。

 従来、分析用に利用するデータマートやキューブの軸は、情報システム部門の分析担当が予想して立てていることが多かった。しかし、ビジネスユーザーの立場になると、自分が行いたい分析のための「軸」が、どのキューブにあるのかが分かりにくく、そこがエンドユーザーがBIツールを使いこなすにあたっての大きな壁となっていた。SAP BO Explorerは、検索技術を用いて、その壁を越えるための解決策を示したと言えるだろう。

 SAP BO Explorerは、日本国内でも6月に発売され、既に2社が導入を決めたという。現在のところ、SAP NetWeaver BW Acceleratorを利用したバージョンは、データソースとしてSAP NetWeaver BWのみを対象としているが、2010年ごろに出荷予定の次期バージョンでは完全にオープンなプラットフォームとなる予定だ。

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