人は本来「怠け者」か「働き者」か
Douglas M. McGregorの「X理論−Y理論」も、欲求階層理論に依拠した理論である。X理論は、人間は本来怠け者で責任をとりたがらず、いつも安全を希求する、という低次の欲求が強い行動モデルであり、一方のY理論は、人間は本来働き者で尊敬や自己実現のために積極的に行動する、という高次の欲求が強い行動モデルである。
この2つのモデルに基づいて、経営者が「X理論」に立てば、細かな指示命令により、監督するマネジメントを行い、「Y理論」に立てば、目標を設定してやり、自主性を尊重したマネジメントを行うことになる。
また、これも著名なFrederick Herzbergの「2要因理論」は、欲求の要因をシンプルに、低次と高次の2つのカテゴリに大別している。Herzbergは、低次の要因が欠乏すると不満が発生しやすくなるとし、これを「衛生要因」として区分。一方、高次の要因を欠乏しても不満には結びつかないが、その経験は満足につながる要因であるとし、これを「動機づけ要因」に分類した。以下に2要因理論のイメージを示そう。
Herzbergは、人間には2種類の欲求があり、1つが苦痛を避けようとする動物的欲求であり、もう1つが心理的な成長を求める人間的欲求である、と述べている。前者をエデンを追放され食べ物を必要とする「アダム」、後者を神に似た姿で高い潜在能力を持つ「アブラハム」と、聖書に例えて説明しているのが面白い。