IT支出は増加傾向に--そこで重要になる6つのテクノロジーとは?:ガートナー提言

田中好伸(編集部)

2009-10-27 13:30

 ガートナー ジャパンは10月26日、IT業界が過去最悪の状況を抜け出しつつあるの見解を発表した。2010年のIT支出は前年比3.3%増の合計3兆3000億ドルとなることが見込まれ、IT業界は成長局面に転じるとしている。10月18〜22日に米フロリダ州で開催されていた米Gartner主催イベント「Gartner Symposium/ITxpo」で明らかにされている。

予算で考慮すべき事項は3つ

 Gartnerのシニアバイスプレジデント兼リサーチ部門最高責任者であるPeter Sondergaard氏は「2010年にIT業界は成長局面に戻るが、2012年までは2008年の売上レベルに戻ることはない」と説明。その上で、「2010年は、企業のコスト、リスク、成長についてバランス良く舵取りをしなければならない年になる。50%以上の企業は依然として、IT予算は前年比フラットか減少し、2011年になってはじめて徐々に回復に転じることになる」との見方を明らかにしている。

 Gartnerでは、全世界の2009年のハードウェア支出は、前年比16.5%減の3170億ドルになる見込みとし、ほかのIT分野より厳しい状況になるとしている。2010年は2009年から横這いで推移すると見ている。

 ソフトウェア支出では、2009年が前年比2.1%減と落ち込むが、2010年には4.8%増の回復基調になると予測している。ITサービス支出では、2009年は7810億ドルになる見込みであり、2010年は前年比4.5%増になると予測している。

 ただ、ここに示したのは、あくまでも全世界での話だ。日本国内の状況を見ると、2010年のIT支出は前年比で0.7%減と引き続き減少傾向にあると、ガートナー ジャパンのリサーチグループ バイスプレジデントの山野井聡氏は説明している。

システムダウンの潜在リスクを抱えたままでいいのか

 IT予算の観点から見て2010年に最高情報責任者(CIO)や情報システム部門長をはじめとするITリーダーは、(1)設備投資(capex)から運用コスト(opex)へのシフト、(2)ハードウェアの長期利用による影響、(3)質の高いビジネスケース設定をIT部門が学ぶ必要性の増大――という3つの考慮すべき事項があるとGartnerは提言している。

 現在、企業向けシステムでもクラウドコンピューティングが注目を集めているが、クラウドのコンセプトが(1)のようなシフトを後押しして、ITコストの拡張性と弾力性も高まるとしている。その際に、CIOは自社の財政状況に対するITの経済効果を具体的に説明する必要があるという。たとえば上場企業であれば、ITが1株あたりの利益(EPS)の増加にどれだけ貢献できるかを明示する必要があると提言している。

 ハードウェア支出が抑えられることから、2010年もサーバやクライアントPC、プリンタの買い控えが続くと推測できる。そうした際に課題となるのが(2)である。つまり企業は、現在使用しているハードウェアの故障率増加による影響の評価に着手するとともに、会計面で現在の償却期間が適切かどうかを判断する必要があるということだ。

 現段階で、本来の交換時期である1年を超過しているサーバは約100万台あると見られている。これは全世界のサーバの3%に相当するという。サーバの買い控えによって、交換時期を1年超過しているサーバの台数は、2010年には少なく見積もっても200万台になると予測されるとしている。

 「仮に交換しないままだと、交換のタイミングを超過したサーバは2011年に全世界の10%近くにのぼるだろう。この状況では、システムダウンなどの潜在リスクを増加させる懸念がある。最高財務責任者(CFO)は、そうした状況を理解、把握しておく必要がある。言い換えれば、CIOはCFOがそうした状況を理解できるような形で情報を提供する責任を負っている」(Sondergaard氏)

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