電機大手の2009年度上期決算に見る「回復基調」の信頼度 - (page 2)

大河原克行

2009-11-09 10:30

 企業におけるIT投資削減への取り組みが長期化するなか、やはり富士通、NECは厳しい環境にあり、両社とも通期見通しを下方修正するという状況だ。

 富士通の第2四半期連結業績は、売上高が10.5%減の1兆1423億円、営業利益が42.2%減の189億円、経常利益が50.9%減の101億円、当期純利益は681億円増加の724億円。営業利益は7月公表時に150億円の上方修正をしていたが、これを167億円上回る改善となったものの、下期の不透明感もあり、通期の売上高見通しを下方修正している。

 第2四半期におけるセグメント別実績では、テクノロジーソリューションの売上高が前年同期比8.8%減の7541億円、営業利益が23.3%減の376億円。そのうち、サービス事業の売上高は7.1%減の6028億円。営業利益は23.1%減の302億円。サービス事業のうち、ソリューション/SIの売上高は17.1%減の2785億円、インフラサービスは3.8%増の3107億円。

 富士通によると、公共、医療分野では底堅い需要があり、国内のアウトソーシングも拡大傾向にあるとするものの、産業、流通、金融分野が厳しい状況。また、PC事業も上期実績は33%減の247万台となり、通期見通しは7月公表値に比べて40万台減の610万台(前年比18%減)へと下方修正した。

 NECの上期売上高は、前年同期比22.3%減の1兆6537億円、営業損益はマイナス377億円、経常損益はマイナス499億円、当期純損益はマイナス436億円の赤字となった。第2四半期は売上高が8752億円、営業利益は23億円の黒字となったが、第1四半期の赤字を吸収できる状態にはなっていない。

 セグメント別では、ITサービス事業の売上高が9.1%減の3825億円、営業利益はほぼ前年並みの105億円。ITプロダクト事業は売上高が29.9%減の886億円。営業損益はマイナス123億円の赤字。ネットワークシステム事業の売上高は、22.6%減の3831億円、営業利益は88億円。社会インフラ事業の売上高は、12.5%減の1297億円、営業利益は27億円。パーソナルソリューション事業の売上高は20.3%減の3624億円、営業利益は79億円。エレクトロンデバイス事業は、売上高が34.6%減の2686億円、営業損益はマイナス426億円の赤字となった。

 SIサービスでは公共、流通分野は堅調とし、さらに、アウトソーシングも順調に成長しているが、その他の業種でのIT投資抑制の影響を受け、厳しい内容となった。また、サーバでは前年同期に大型案件があった反動で減少している。PC事業も、企業の投資抑制および単価下落の影響で減少。国内PC出荷台数は、通期目標の250万台に対して、上期の出荷実績は108万台となり、進捗状況は43%。Windows 7効果による下期巻き返しが必要だ。

 このように、電機各社の業績を俯瞰すると、AV関連はエコポイント制度の追い風により高い成長率となっている薄型テレビの影響や、各社の経費削減努力の成果もあって、やや回復基調と見ることもできる。一方、IT関連では、残念ながら企業のIT投資抑制の影響が長引いており、厳しい環境にある。

 企業のIT投資抑制の動きが緩和するのはいつになるのか。IT分野では、第3四半期も厳しい見方をせざるを得ないといえそうだ。

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