Microsoftが、Windows Azure事業の担当部門を、サーバ&ツールビジネス部門に移管した。
Windows Azureは年が明けて早々、1月4日より正式サービスの購入が可能となった。これまでAzureは、同社のチーフソフトウェアアーキテクト(CSA)であるRay Ozzie氏のもとにあったのだが、2009年11月に開催されたPDC 2009において、Windows Azureに関する詳細な内容が公開され、いよいよビジネスへと移行。それに伴い、開発チームから、ビジネスチームへと事業が移管されたというわけだ。
具体的には、Bob Muglia氏が率いるサーバ&ツールビジネス部門に、新たにサーバ&クラウドディビジョンが設置され、同組織が担当することになる。サーバー&クラウドディビジョンのトップには、Windows Azureの開発に携わったAmitabh Srivastava氏が就き、ビジネスとしてのAzureをドライブしていく。
Azureは、生みの親であるRay Ozzie氏のもとを離れ、今度は育ての親となる、Bob Mugliaのもとで事業として成長していくことになる。その点では、今回の事業移管は自然な流れととらえていいだろう。
実は「Windows Live」や「Office Live」も、Azureと同様の経緯をたどっている。いずれもOzzie氏のもとから、それぞれWindows部門、Office部門に移ってビジネス展開が行われているのだ。
だが、今回のWindows Azureは、Ozzie氏がマイクロソフト入りして、一から取り組んだプロダクトだけに、送り出す「親」としての気持ちはひとしおかもしれない。
今回の組織で注目されるのは、これまでのサーバ関連ソフトウェアと、Windows Azureによるクラウドサービスをひとつの組織で担当するという点だ。「ソフトウェア+サービス」を標榜し、オンプレミスとクラウドをシームレスに提供する同社の基本的なスタンスに則った組織編成だといっていい。
気になる日本での展開は?
ところで気になるのは、日本法人におけるWindows Azureの取り扱いだ。
現在、日本法人におけるWindows Azureの取り組みは、執行役である大場章弘氏が率いるデベロッパー&プラットフォーム統括本部が、開発者向けのエバンジェリズム活動を中心として、Windows Azureに関する各種活動をリードしている。
もともとデベロッパー&プラットフォーム統括本部は、開発者やITプロをはじめとするIT技術者に対する技術支援と、「Visual Studio」や「Silverlight」などの開発、デザインツールなどの製品やテクノロジを担当する部門であり、Windows Azureに関しても、統合的な技術情報の提供や検証を目的とした活動を展開している。
日本法人では、米国での組織変更の動きを受けて、Windows Azureの担当部門を、今後どのような体制で、どの事業部門で展開していくのか、現在検討している段階だという。
2月23、24日に、日本で開催される「Microsoft Tech days 2010」では、いよいよ日本におけるWindows Azureの今後の事業展開が明らかにされる予定だ。ここで発表される内容や、Azureを担当する組織の位置づけによって、マイクロソフトが日本において、どれほどの力の入れ方でWindows Azureに取り組んでいくのかが分かるだろう。