SASはBIベンダーではない--CTOのコリンズ氏がSASの製品戦略を語る - (page 2)

大河原克行

2010-02-24 12:29

SASをBIベンダーといわず、なんといえば適切なのでしょうか?

Collins:ビジネス・アナリティクス・ソリューション・プロバイダーです。BIはあくまでもひとつの製品にすぎない。BIという言葉が使われはじめたのは、1978年から79年のことです。そして、クエリやレポーティングといったことが注目されはじめたのが1981年から82年頃のことです。この時にいくつかのプロダクトが登場しましたが、このなかでデータの重要性を最も理解し、ビジネスアナリティクスという領域に早くからフォーカスしていたのはSASだといえます。

 情報をもとに過去を分析するだけでなく、ビジネスに必要な要素を導き出し、予見し、ビジネスに最適化するというところに取り組んできた。また、データをマネジメントするという点で、SASは優位性を発揮できる。膨大なデータをどう処理するか、品質をどう維持するか、そしてデータのガバナンスについても研究を続けてきた。加えて、さまざまな業界の活用ノウハウを蓄積している。つまり、アナリティクスをツールとしてでなく、ソリューションとして提供できる体制が整っているわけです。

CTOとして開発チームに徹底していることはなんでしょうか?

Collins:「組織内の信頼度を高めること」「顧客満足度を高めること」の2点です。先頃、Fortune誌が発表した「働きやすい企業ランキング」でSASがナンバーワンになりました。これは社員がSASという企業に対して、会社を信頼して、自信を持って働いてくれていることの証です。今の時点では望んでいるレベルに到達していると思いますが、これに満足せず、社員がもっと効果を発揮できるようにしたいと考えています。

あえてSASの課題をあげるとすればなんでしょうか?

Keith Collins氏 Keith Collins氏

Collins:ERPがないということでしょうか(笑)また、こんなことがいえるかもしれません。SASはこれまで長年に渡って成功を遂げてきましたが、それは長年に渡って利用しているユーザーが多いということでもあります。一方、ここ1、2年でSASの製品を導入したユーザーは、SASの最新技術を理解して活用している。しかし、20年や30年も利用しているユーザーのなかには、古いバージョンの利用を続け、SASが提供する最新の技術やソリューションを理解してもらえていない場合もある。これは解決していかなくてはならない課題の一つだといえます。

 また、ITがビジネス側の厳しい要求に応えるためには、データウェアハウスをより効果的に活用できるように整備する必要がある。ここでSASが効果を発揮することができますが、まだまだ改善の余地があると考えています。

製品および技術という観点から、2010年はどこを強化することになりますか?

Collins:3つの観点から取り組む考えです。ひとつはユーザーインターフェースのFlash化です。スマートフォン向けのFlashベースのインターフェースを、今年半ばには提供することができます。

 2つめはワークフローをさらに製品に組み込んでいきます。そして、3つめにはハイパフォーマンス、グリッド領域での進化です。Social Network AnalysisやSocial Media Analysis、Coustomer Data Analysisといったものが重視され、こうした非構造データを分析するためには、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の活用が不可欠。企業が抱えるデータの増大は、今や大変な課題となっている。そのなかで、HPC、プロセスの自動化、データの管理とガバナンス、ビジネスの可視化、SaaSの活用といった5つの観点からの進化が必要であり、SASはこれらの領域に対して投資を続けます。

2月17日付けでアクセンチュア、日立システムとの提携を相次ぎ発表しました。今後、パートナーとの提携はまだまだ増えるのですか?

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