ISID、HD映像伝送技術に関する高品質ネットワーク性能評価の実証実験に参加

富永恭子(ロビンソン) 2010年02月24日 17時57分

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 電通国際情報サービス(ISID)は2月24日、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)が2月1日から27日にかけて実施している「動的ネットワーク設定変更機能による高品質ネットワーク性能評価実験」に参加し、「伝送回線の切り替えに伴う瞬断への耐性の向上」と「映像ファイル化による新しいワークフロー」の2つの実証実験を実施したことを発表した。この実験には、ほかに毎日放送(MBS)、アクタスソフトウェア、シスコシステムズ合同会社(シスコ) 、日本電信電話(NTT)、 北海道放送(HBC)などが協力している。

 ISIDによれば、今回の実験はNICTが2008年4月から運用、管理しているオープンな研究用の超高速、高機能研究開発テストベッドネットワーク「JGN2plus」を利用したもので、各種の放送技術に関するものだとしている。

 実験では、送信側、受信側ともに8コアのアップル製「Xserve」を用い、ISID自社開発のHD映像伝送システム「QualImage/HD」を使用した。映像入出力インターフェースには、米国映画テレビ技術者協会(SMPTE)が策定した放送機器向けのデジタル映像、音声入出力インターフェース規格である「HD-SDI(High-Definition - Serial Digital Interface)」、コーデックにはアップル製ソフトコーデック「ProRes422」を採用しており、通常、放送局などで映像編集に用いているようなMacのみで、放送局のスタジオ品質と同等のHDTV映像伝送が可能だとしている。

 伝送回線の切り替えに伴う瞬断への耐性向上についての実験では、NTTが開発した「動的オンデマンドネットワーク技術」を用いて、NICTのJGN2plus、およびNTTが運用する実験用ネットワークGEMnet2(Global Enhanced Multifunctional Network 2)上に構築したネットワークを利用したHBCよりMBSへのライブ配信および接続ネットワークの切り替え実証実験を実施したとしている。動的オンデマンドネットワーク技術は、アプリケーションやユーザーの要求に応じて、ネットワーク帯域などのリソースを動的に割り当てるもので、トラフィックの増減、機器の故障、ネットワーク品質要求などに関して必要に応じてその都度対応することで、ネットワーク資源を有効に活用できるようになるという。

 実際の放送映像伝送においては、トラブルなどにより通信路が本線系からバックアップ系に切り替わることがある。この切り替えに伴ってパケットの到着順が入れ替わることがあり、映像の乱れにつながるという。このようなケースでは、伝送装置であるMac側で対応することが求められるが、欠損した映像情報を再送する方式はリアルタイム映像では使用できない。従って、データの順序を管理したり、データに冗長性を持たせることで対応したという。同システムでは、最大300ミリ秒までの通信断やパケットの順番変化に対応できたとしている。

 今回の実験では、「さっぽろ雪まつり」会場の映像を2月4日にHBCからMBSまで伝送。NICT本部を経由することによる経路差遅延は約1ミリ秒で、経路切り替え時にはパケットの順序乱れが発生したが、これを問題なく修正でき、正常な映像受信を継続していることが確認できたという。実験中のネットワークの性能評価には、NTTが開発した高精度ネットワーク測定装置「PRESTA 10G」を用いたとしている。

伝送回線の切り替えに伴う瞬断への耐性の向上 「伝送回線の切り替えに伴う瞬断への耐性の向上」実験におけるシステム構成図

 また、映像ファイル化による新しいワークフローについての実験では、スポーツ中継など、録画した映像をすぐに編集し、番組中で使用する場合のワークフロー(作業手順)を支えるためのしくみを開発したという。今回の実験は2月12日に実施したもので、 沖縄県名護市で行われたプロ野球キャンプの練習風景を、この新しいワークフローを利用して編集し、従来方式での作業との比較を行ったとしている。

 名護市で録画した映像を、IPネットワーク経由で岡山のデータセンター内にあるファイバチャネルストレージに数分単位の個別の映像ファイルとして保存。MBSからはIPv6を使用したFCIP(Fiber Channel over IP)経由でファイル共有を行い、編集ソフトで映像ファイルを加工して、編集済みファイルとして書き出した。一連の編集作業を実施した結果、自動ファイル化の便利さが認識され、FCIP経由であっても十分に実用に耐えるワークフローであるという評価を受けたという。

 従来は、伝送した映像を一旦収録し、それを編集装置に取り込んだのちに編集作業を行っていた。そのため、映像を収録する担当者の受信側へのアサインや収録後に取り込み作業などを終了しないと編集作業が始められないというボトルネックが発生していたという。今回の方式では、自動的に受信される数分単位のコマ切れ映像の伝送が終わった時点で、すぐに編集作業を始めることが可能だとしている。

映像ファイル化による新しいワークフロー 「映像ファイル化による新しいワークフロー」実験のシステム構成図

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