IFRS「任意適用」を目指す企業は4%--ディーバがユーザー企業に対する調査結果を発表

ZDNet Japan Staff

2010-03-16 20:06

 連結会計システム「DivaSystem」を提供するディーバは、複数の子会社を持つ同社製品のユーザー企業を対象に行った「IFRSに関わる連結決算業務の実態調査」の結果を3月16日に発表した。

 同調査はディーバがIFRS(国際会計基準)対応への取り組みを始めていると予想される連結決算担当者、担当部署の実態を把握する目的で定期的に行っているもの。今回の調査は2009年10月28日から12月18日かけて実施され、ウェブアンケートシステムを通じて、555社のサンプルのうち311社からの有効回答を得た。

 IFRSの適用時期に関する質問に対しては、「任意適用」するとの回答は4%にとどまり、一方で「強制適用」を待つ企業が48%、適用時期が「未定」とする企業が45%となった。ディーバでは、現時点ではまだ「強制適用」「未定」の企業が多いが、担当者・担当チームを設置しているケースもあり、この中には将来的に任意適用を選択する企業もいると見ている。

 IFRSを適用するにあたって業務・会計におけるプロセスやシステムへの影響が大きい項目(3つを複数選択)を尋ねた質問に対しては、72%の企業が「収益認識」を選択した。ディーバでは、日本の経営や会計では伝統的にP/L(損益計算書)重視、中でも売上重視の風土があるが、B/S(貸借対照表)重視となるIFRSでは大きな発想の転換が求められているとコメントしている。なお、「収益認識」の次には「決算期の統一」「減価償却」「遡及修正」「キャッシュフロー(直接法)」「財務諸表(表示)」が30%前後の企業に選択されたという。

 また、IFRSの適用時期に最も影響のある項目に関する質問では、「法制度」と回答した企業が43%で最多となった。次いで「同業他社などの状況」を重視する企業が21%と続き、これは他社の動向に対して横並びを志向する企業や、あるいはIFRSアドプションを他社との比較可能性を高める目的として捉えている企業があるためと考えられるという。また、9%の企業は「経営管理の強化」と回答しており、IFRSを単なる法対応だけでは済まさず、世界で受け入れられている会計基準を連結経営に活かすという目的で取り組んでいる姿が見て取れるとしている。

IFRS適用時期に最も影響のある項目 IFRS適用時期に最も影響のある項目(出典:ディーバ)

 同調査では、「マネジメントアプローチ」に関する質問も行われた。2010年度から適用されるマネジメントアプローチを採用した新基準のもとでは、多くの企業がセグメント区分を見直すことが予想される。ところが、セグメント区分についてのアンケートの結果では、「従来とは変更になる予定」の企業は18%にとどまる一方、「未定」と答えた企業は48%と約半数におよんだという。

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