NTTデータは3月17日、2009年10月に防衛システム担当がCMMIの成熟度レベル5を達成したのに続き、さらに大規模システムへの適用を拡大して、第二公共システム事業本部 第一公共システム事業部 社保第一統括部がレベル4を達成したと発表した。
CMMI(Capability Maturity Model Integration)は、1999年に米国国防総省の援助のもと、カーネギーメロン大学ソフトウェア工学研究所(SEISM)で開発された「能力成熟度モデル」のこと。現在では、組織がプロセスをより適切に管理できるようになることを目的として遵守するべき指針を体系化し、システム開発を行う組織の成熟度を表現したモデルとして、成熟度を段階的なレベルで表現するとともに、各成熟度を満足するために有効なプロセスの特徴を定義している。現在では防衛関連だけではなく、プロセス改善を行う際の参照モデルのデファクトスタンダードとして多くの企業で使用されている。
CMMIは、2006年8月のCMMIおよび評定手法「SCAMPISM(Standard CMMI Appraisal Method for Process Improvement)」のバージョン1.2リリースに伴い、レベル達成に必要な評定の手順および基準が大幅に改訂されたという。SCAMPISMとは、CMMIモデルを使用して、ベンチマークを目的とした厳密な評定を行うためにSEI(CMU/SEI)が開発した評定手法のこと。特にレベル4以上の高成熟度レベルの評定では、事業目標とプロセス改善との関係や、改善の実施効果の定量的な把握、定量データの分析における統計技法の正確な使用などを厳格に示すことが求められるようになった。
その結果、改訂後にレベル4ないしはレベル5を達成した企業の数は激減したという。また、V1.2の改訂に伴い、関連要素群 (constellation)の概念が導入され、開発以外の領域(調達やサービス)向けのCMMIも定義されているという。NTTデータでは、今回のレベル4達成は「開発のためのCMMI」に基づいているとしている。今回のNTTデータのレベル4達成は日本国内初、レベル5を含めた高成熟度としては防衛システム担当を含め日本国内で3件目となるという。
レベル4を達成した第二公共システム事業本部 第一公共システム事業部 社保第一統括部は、厚生労働省および日本年金機構を顧客としたシステムの開発・運用を行う組織。同組織ではシステムの安定サービスの提供を第一目標に掲げ、組織としての成熟度を高めるために2005年よりCMMIの取り組みを開始、2006年にはCMMIレベル3を達成した。その後も防衛システム担当と連携しつつプロセス改善活動を継続してきたという。同部がこれまで蓄積してきた実績データを活用し、統計手法を用いた定量的プロジェクト管理手法を充実強化した結果、成熟度レベル4の達成を確認できたとしている。