プライスウォーターハウスクーパース(PwC)とSAPジャパンは3月24日、PwCがSAPの人材管理アプリケーション「SAP Talent Visualization by Nakisa(以下、SAP Talent Visualization)」を基盤に、アステラス製薬の新たなサクセッションプランニング(後継者育成計画)システムを構築したと発表した。4月1日から本格稼働を開始する。
アステラス製薬では、中期経営計画でグローバル人事・組織整備の実現を掲げており、それに向けた施策の1つとして、役員や部長など、グローバル経営を行う上で核となる任務や役職(コアポジション)に対して、後継者育成計画を進めるための人事基盤の構築が課題となっていた。この課題を解決するために同社では、コアポジションの管理、後任者計画、組織改編計画、人事分析など、人材の活用を支援するSAP Talent Visualizationを活用し、今回の新システムを構築した。SAPジャパンによれば、SAP Talent Visualizationが採用された理由のひとつは、同社の既存の人事システムである「SAP ERP Human Capital Management(HCM)」との親和性が高く、現存する人事情報を効率的に利用することができるソリューションであるからだという。
SAP Talent Visualizationでは、アステラス製薬内部のコアポジションや後継者候補の情報を一元的に管理できるほか、最適な人材情報を抽出するためのキーワード検索、選択された人材群の「人材プール」としての一括管理なども可能だ。また、ユーザーインターフェースにも配慮しており、経営層が直接操作しやすくなるため「後継者育成計画への積極的な関与を促進する」(SAPジャパン)という。
PwCとSAPジャパンでは「製品やベンダーの信頼面、機能面、技術面での評価、アステラス製薬の人事業務プロセスとIT環境との親和性の高さなどから、SAP Talent Visualizationが採用された。システム導入においては、PwCが持つグローバルでの人事情報システムの導入、業務改革コンサルティングの経験と実績が高く評価された」としている。基本構想策定、要件定義、システム設計および開発、運用サポート、ユーザートレーニングをPwCが担当している。
PwCとSAPジャパンは、アステラス製薬のグローバル規模での人材マネジメントについての課題解決も積極的に支援していく意向で「このプロジェクトでの実績をもとに、今後もクライアントのサクセッションプランニングをはじめとするタレントマネジメント全体の課題に対応していく」としている。