富士通とiCADは6月7日、機械装置設計に利用する3次元CADシステム向けに、100万点の部品データを0.2秒で高速処理するCADエンジンを世界で初めて開発したと発表した。
これまでの3次元CADシステムでは、コンピュータ上で3次元物体を表現するにあたって微少な面に分割して近似表現する方式が一般的で、大規模な機械装置などではデータ量が膨大になるという課題があった。富士通とiCADが開発したエンジンでは、機械装置に現れる部品の大半は正確に数式表現可能である点に着目し、メモリ使用量を大幅に削減することが可能になったという。これにより、微少面の近似表現方式と比較して約200倍の高速処理性能を実現しており、100万部品の大規模な機械装置においても0.2秒で処理できるという。
このエンジンの利用により、処理性能の制約から別々のシステムで行っていた機械、電気、制御などの設計を同一システム上で行えるようになる。また、設計部門から製造部門まで共通の3次元データを利用することで、それぞれの設計段階で生じる情報のズレや作業のムダを防ぐとともに、製造時に発生する手戻りや修正も軽減でき、開発リードタイムの短縮と品質向上を図ることが可能になるとしている。
両社では、同エンジンを組み込んだ製品「iCAD V7」を、2010年末に富士通より発売する予定。また富士通では、PLMビジネスセンター内にCAD製品のプロモーションを強化するグループを設置、開発を行うiCADには商談技術支援を行うメンバーを配置し、同エンジンを搭載した製品の営業、販売支援活動を強力に推進するとしている。富士通では、同製品について、2011年度に8000本の販売を目標とする。