「まぁ、いいじゃないですか」
「でも、何を悩むの?」
「うぅん……“Service”って部長、わかります?」
「えっ? あれは、そら…そぅねぇ…。ま、いろいろ…」
「でしょ~。割とわかんないんですよ。僕らのような一般人ってどうしてもサービスって聞くと、『奥さん、今日はサービスしとくね!』系の“おまけ”の意味に近い概念持ってるじゃないですか」
「そうだねぇ……そうじゃない場合は“サービス業”のサービスだよね。この場合、金融業でも製造業でもないって意味だよね。でも金融は、英語で“Financial Service”だから、本当はサービス業だなぁ……あれっ?」
「そうでしょ、部長。悩むでしょ?」
「うん、難しいねぇ。ん? ということは今日の切り出しは“Service”?」
「そうなんです、“Service”なんです。最近気がついたんですけど、ITに関する言葉で結構重要なところに“Service”って言葉が使われているんですよね」
「ほぅ。たとえば、どんなところ?」
「まず、SOAですよね。アプリケーション構築の工法のことをそう呼ぶようになってきている」
「ちなみにさぁ。SOAって、オブジェクト指向と何が違うの?」
「うぅん…一緒でいいんじゃないでしょうか…部長の立場的には。そりゃ、技術的には違いますけど。部長の立場では、それは大きな違いではないと思いますよ。でも、この話はここまでにしましょう。それだけで大きなテーマなんで」
「そう。じゃ話を戻して、他には?」
すべての業務がメニュー化
「“Service Catalogue”ってご存知ですか?」
「まぁ、サービスとカタログは知ってるけど……それ、メニューか何か?」
「あと、IT部門の部門名で基盤部門のことを“Infrastructure Service”といったりしますよね」
「だから、メニューか何か? って聞いたじゃない?」
「あと、当然“Server”もありますよね。どっちかと言うと、中規模コンピュータの意味で使ってますけどね」
「だ、か、ら!」
「すみません。悪ふざけが過ぎました。Service Catalogueとは、部長が仰るように、IT部門がユーザー部門に出しているサービスメニューのことを指します。言葉で説明するよりも、本物を見てもらうのが本当は一番いいのですが、ちょっと出せないのでわかりにくいけど言葉で説明します」
「頼むよ」
「メインフレームとか運用しますよね。それがバッチであったりオンラインであったり。これが、運用全体で一本ではなく、コストが大きく変わる単位ごとに全部メニュー化されていて、1トランザクション当たり◎ドルとかで定義されているものなんです。例えば、Batch Criticalは●ドル、Batch Standardはその5分の1の値段とか。当然、バッチだけではなくて、Online Criticalはいくら、Online Standardはその10分の1とか。これが、IT部門がユーザー部門向けにやる全部の業務について、メニュー化されているんです」
「え、全部?」