優れた最高情報責任者(CIO)であれば、在職中に多くのことを成し遂げるだろう。しかし転職の際に、自らの成果を新たな雇用者に対して説明するのは簡単なことではない。というのも、多くの最高経営責任者(CEO)にとってIT技術が不可解なものとなっているためだ。
転職活動を行うITリーダーにとって、自らのキャリアのうちでどれが将来の上司に対して最もアピールするのかや、テクノロジについてどの程度詳しく語るべきか、どのように主張すれば自らが最適の人材であると納得してもらえるのかという判断は難しい場合も多々あるはずだ。
企業幹部を対象とするヘッドハンティング会社として世界各地に拠点を構えるOdgers Berndtsonにおいて、英国のCIO/CTO部門の責任者を務めており、この道で10年以上もの経験を有しているAlan Mumby氏は、潜在的な雇用者に対して自らをアピールする方法として以下のティップスを披露している。
#1:あらゆるものごとを定量化する
CIOが自身の価値を現在の、あるいは未来の上司に説明しようとするのであれば、定量化に秀でている必要がある。
Mumby氏によると、同氏の知っているCIOのなかで最も成功している人物は「約200種類の基礎数値」(サーバの応答時間から必要な要員の規模にいたるまでのあらゆるものごとを網羅している)を把握しているため、要件単位のITコストを系統立てて算出できるという。
いったんコスト見積もりが完了すると、その額を超えて予算を消費することは認められず、同額のまま推移させるか、削減することしかできない。このためCIOとIT部門は、自社の価値を高めるために日々、その額の削減に腐心することになる。
ここで重要なのは、ITによって自社にもたらされる事業価値をCIOが定量化できるという点である。そしてそれこそが、雇用者の知りたい重要な数値なのである。
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#2:自らの作業を羅列するだけに終わらない
残念なことにCIOやIT部門の責任者の多くは、履歴書や添え状を書く際に作業と成果を混同してしまっている。
未来の上司に対して、SAPのERPシステムを導入した経験や、Microsoft Exchange Server 2007に移行した経験のみを語っても何の意味も持たない。業務にどのようなメリットが生み出されたのかについて具体的に言及しなければならない。
Mumby氏は、英国ウェールズで最近開催されたCIO向けのイベントで「ほとんどのCIOやIT責任者は、自らが行ってきたこと、すなわち作業や取り組みに焦点を当てている。つまり、焦点を当てるべき対象を間違えているわけだ」と述べている。
あなたの指揮したプロジェクトが企業にもたらした価値を定量化できないというのであれば、採用担当者はあなたに興味を抱くこともないはずだ。