ユニシスが挑むソーシャルビジネス
日本ユニシスは2014年度を最終年度とする中期経営計画において、新規ビジネスで100億円規模の売り上げを新たに生み出す考えを示している。
新規ビジネスのなかには、パートナーとの共創ビジネスや社会基盤ビジネスなどが含まれる。
日本ユニシスの黒川茂社長は「化けるかもしれないし、化けないかもしれない」と手探りであることを明かすが、「地域活性化やパートナーとの新たな連携を結ぶきっかけを作ることができる」と新規ビジネスによる顧客拡大、関係強化などのメリットをまずは期待する。
そうしたなか、日本ユニシスはソーシャルメディアを活用した新規ビジネスに取り組みはじめた。
第1弾となるのがEC機能を持った情報サイト「JCRAFTS.com」の展開である。地域の伝統工芸品を世界に向けて情報発信していくウェブサイトで、中小企業やクリエイターの海外販路拡大の支援事業と位置づけるとともに、東日本大震災の被災地の伝統工芸品を中心に展開することで地域活性化にもつながるとする。
伝統工芸、生産工程、職人などのコンテンツを英語、中国語(簡体字、繁体字)、日本語で発信。Facebookを活用したマーケティングや、Yahoo!とGoogleを活用した広告展開も行う。
日本ユニシスの黒川茂社長
「伝統工芸品の国内需要は、日本人の生活様式の変化や海外からの安価な輸入品の増大などにより低迷傾向にある。日本ユニシスはソーシャルメディアに注目し、少ない投資で海外へのテストマーケティングを実現するとともに、仕入れ、物流、決済、アフターフォローまでの流れを一括して支援するプラットフォームを提供することで、日本の中小企業の販路拡大を支援する」と語る。
もうひとつの取り組みが、書籍「武士の食卓」への取り組みである。
幻冬舎から発刊された「武士の食卓」(緋宮栞那著)は、加賀藩の武士が当時食べていたとされる食事のレシピを紹介した書籍だ。この英訳電子版の一部をFacebookで紹介し、海外ユーザーに向けて訴求を行った。
その結果、2月20日正午時点で7万人近いファンを獲得。15か国以上で電子書籍版が購入されるという動きでている。
ファンのうち98%が海外ユーザー。Facebook利用者が多く、和食人気が高い北米のほか、フィリピン、インドネシアなどの親日国において閲覧されているという。そして、日本のFacebookページの「本・雑誌部門」においては、ファン数ランキングで、パーゴルフ、ドラえもんに次いで3位の実績を得ている。
大野益久氏
日本ユニシス サービスインダストリ事業部 ビジネス一部の大野益久氏は、「ソーシャルメディアは、リレーションシップ、リテンション、リファラルという3つのマーケティングの3Rの実践に適したプラットフォーム。ソーシャルメディアを活用して見込み客を自社サイトに誘導し、ファンのコア化を推進。日々の情報発信により、継続的に顧客にアプローチできる。また、ファンがインフルエンサーとなり、口コミによってその輪が広がっていく。一方的な押しつけではなく、ファンとのコミュニケーションによって共感を得るコミュニティ型の訴求ができる。全世界8億人と言われるFacebookのユーザーを対象に、日本のコンテンツに強い興味を持っている人に対してコミュニティとして訴求ができる点は、これまでのマーケティングでは考えられなかった」とする。
さらに同社ではファッションECサイトのDRESS ON LINEと連携し、Facebook上でユーザー参加型コミュニティ「Fashion & Japan めっちゃかわいい」を開設。20〜30代の日本人女性を対象に、消費者同士が共感しあいながら求めるものを見つけてもらうという共創ビジネスを展開しているという。