ビッグデータ市場、2011年度は1900億円--2020年度には1兆円に

田中好伸 (編集部) 2012年04月24日 16時50分

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 矢野経済研究所は4月24日、ビッグデータ市場の調査結果を発表した。2011年度の同市場規模は1900億円だが、2020年度には1兆円市場に成長するという。

 同社はビッグデータの定義について(1)非常に大容量であるため処理や分析に特別な技術を要するデータ、(2)データベース、文書、音声、映像などを含む多様な種類のデータ、(3)極めて高頻度で発生し、超高速に処理されるデータ――という3要素を含むものとしている。ここでいうビッグデータ市場は、ユーザー企業がビッグデータの蓄積や処理、分析に投じる費用のすべてになる。

 現時点で、ビッグデータを分析し、マーケティングなどに活用できることに注目が集まっており、ビジネスインテリジェンス(BI)が市場の大部分を占めると説明。2011年度のビッグデータ市場は、ソフトウェアライセンスやシステム構築、ハードウェア、保守までを含めて1900億円と推計している。

 OSSの分散並列処理フレームワーク「Apache Hadoop」を使ったシステム構築などの新分野も含まれるが、まだ規模は小さいと説明。先進ユーザー企業は売り上げや経営スピードの向上に向けて積極的に投資しており、BIは年率5%程度の堅調な成長を遂げると予測している。

 だが現在は、ユーザー企業のビッグデータに対する過剰な期待もみられるという。現実的には、データ分析で有用な情報を得ること、情報を企業活動に活かすには、技術と業務の両面で困難が多いと考えられ、ビッグデータ活用の失敗事例も増加するという。データ分析に対するニーズは限定的な範囲にとどまると考えられ、ビッグデータ市場がデータ分析だけを対象にしていては、今後の成長は限定的になるとしている。

 矢野経済研究所では、ビッグデータ市場の成長シナリオを短期(2011年度~)、中期(~2015年度頃)、長期(~2017年度頃)で作成。現在と2020年度ではビッグデータの位置付けや役割は大きく変わると想定している。

 短期(2011年度~)では、ビッグデータの注目度の高さとデータ処理技術の向上、コストダウンでBIを中心に分析ソリューションの投資は促進されるという。経費削減目的ではなく、マーケティングや商品開発、経営判断の迅速化など、売上向上やスピード経営を狙った投資としている。ただ、ビッグデータ活用に挑戦する企業は増えるが、失敗事例も考えられると予想している。

 中期(~2015年度頃)には、GoogleやFacebook、Amazonなどがビッグデータを活用して消費者の生活や社会を変えたように、新しい価値をもたらすサービスが登場するという。データ活用の大幅なコスト低減と普及を担い、クラウド上にさまざまなデータが集約されるともいう。データ活用の基盤としてクラウドの利用が進み、多数の企業がビッグデータを共同で利用するようになると予想している。

 長期(~2017年度頃)では、クラウド上のビッグデータが社会基盤になるという。たとえばスマートシティではセンサや端末から発生するデータ、非構造化データなどを分析するビッグデータ技術を使って、再生可能エネルギー管理システムや電気自動車の管理システムが構築され、電力需給の最適化が実現するとしている。こうしたことで、ビッグデータの活用で、社会のムダや余剰の最適化が推進されるという。

図 ビッグデータ市場規模予測(出典:矢野経済研究所)

 これらのシナリオに基づいて同社は、国内IT投資金額に占めるビッグデータ市場の比率がどのように変化するかも予測している。

 2011年度の国内民間企業のIT投資を10兆9580億円と予測、2011年度のビッグデータ市場気は1900億円(構成比は1.7%)、2015年度の市場規模は4200億円で、IT投資金額が2011年度と同規模とすれば構成比は3.8%、2017年度の市場規模は6300億円(同5.7%)、2020年度には1兆円を超え、同様にIT投資金額が変わらない場合、1割弱まで拡大するとしている。

 これらの推移を年平均成長率(CAGR)で見ると、2015年度で21.7%、2017年度で22.0%、2020年度で21.0%になる。

 調査は2011年11月~2012年4月に、ITベンダーへの直接面談とユーザー企業へのアンケート企業に基づいて、シナリオを作成し予測、試算している。

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