本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで語った明言をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今週は、新クラウドサービスを発表したIIJの時田専務執行役員と、コンピュータとネットワークの融合技術を発表したNECの丸山執行役員の言葉を紹介する。(ZDNet Japan編集部)
「日本のクラウド市場拡大は、オンプレミスのシステムをどれだけクラウドに取り込むかにかかっている」(インターネットイニシアティブ 時田一広 専務執行役員)
インターネットイニシアティブ(IIJ)は5月23日、クラウドサービス「IIJ GIOサービス」の新たなラインアップとして「IIJ GIOコンポーネントサービス 仮想化プラットフォーム VWシリーズ」を発表した。時田氏の発言は、その発表会見で、クラウド事業の責任者として新サービスへの意気込みを語ったものである。
IIJ 時田一広 専務執行役員
IIJが2009年12月から提供しているIIJ GIOサービスは、当初から仮想サーバと専有サーバの2種類を用意しているが、今回の新サービスはそれらと同じサービス基盤上に、新たに仮想化技術として「VMware vSphere」、ストレージとしてEMCのユニファイドストレージを採用した仮想化プラットフォームを提供するものである。
従来から提供してきた仮想サーバや専有サーバと比較して、仮想基盤上のOSやアプリケーションをユーザー側で自由に設計・構築できるため、業務環境や要件に合ったシステムをクラウド上に構築できるのが特徴としている。
発表内容の詳細は関連記事にゆずり、ここでは「プライベートクラウド」という言葉の意味に少しこだわってみたい。
時田氏は新サービスの説明の中で、「IIJが目指しているのは、お客様自身でプライベートクラウドを構築しなくても、新サービスを利用していただくことで“持たないプライベートクラウド”を実現することだ」と強調した。また、新サービスの代表的な利用シーンとして、ホステッドプライベートクラウドやディザスタリカバリ環境の構築などを挙げた。
持たないプライベートクラウド? ホステッドプライベートクラウド? これらの言葉に頭の中が混乱してしまった。プライベートクラウドとは、サービスとして利用するパブリッククラウドに対し、あくまで「所有するもの」のはずだが……。それを「持たない」「ホスティングする」とはどういうことか。
発表会見の質疑応答で、その疑問をぶつけてみた。時田氏によると、「確かにプライベートクラウドは所有するものとみられてきたが、クラウドの定義は日々更新される部分もある。その意味では、今回の新サービスはホステッドプライベートクラウドという新しいカテゴリーに分類される」とか。
ちなみに、ホステッドプライベートクラウドとは「必ずしも所有しなくてもリソースを確保して自社の資産のように利用できること」だという。