Whitman氏が語る「これからのHPの戦略」
Whitman氏はCEO就任以来、「HPの今後の戦略はどのようなものなのか」という質問をよく受けるという。「この機会に、改めて戦略について説明したい」と述べ、戦略の構成要素となるHPのポートフォリオとして「ソリューション」「サービス」「ソフトウェア」「インフラストラクチャ」を挙げた。

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PC、プリンティング、サーバ、ストレージ、ネットワークといったハード、インフラ分野は「われわれの戦略のベースである」とWhitman氏はいう。
「HPの売上の75%はハードとインフラから生まれている。これはHPの長所であり、自負すべき要素であると考えている。そう言うと『この分野はコモデティ化しているけど大丈夫か』と聞く人もいるが、問題はない。適切な研究開発と顧客とのコネクションを維持していれば、常に前線にいつづけ、画期的な技術を生み出せるはずだ」(Whitman氏)
その上に乗る「ソフトウェア」については、「システムを最適化し、ハードウェアに差別化を与えるもの」と位置づける。さらに「サービス」の分野で、コアとなる製品に対して付加価値を生み出し、これらすべてを組み上げて「ソリューション」を提供していくとする。
「HPの仕事は、ポートフォリオとして持つこれらの要素を組み上げ、単なる組み合わせ以上の価値を提供すること。これによって、挑戦すべき課題をビジネスチャンスへと転換していく」(Whitman氏)
注力分野としては、特に「クラウド」「セキュリティ」「情報最適化」の3つを挙げた。

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クラウドについては、日本で4月に発表された「Converged Cloud」に言及。パブリック、プライベート、そしてマネージドクラウド(企業が希望の条件でHPに運用を委託するプライベートクラウド環境)といった、さまざまなスタイルのクラウドを必要に応じて導入し、それらすべてに対して、一元的かつ透過的な運用管理、アプリケーション配備の環境を提供するという。これにより「必要な環境を適切なコストで導入可能にする」という。
セキュリティは、進化の速度が速いIT環境に応じて、常に新たなアプローチが必要とされる分野だとする。この分野においては、インフラ、ネットワーク、アプリケーションといったすべての要素を一元的に監視し、そこに存在する情報を適切に保護できるようにしていくという。
情報最適化については、HPが買収によって手に入れた「Autonomy IDOL」「Vertica」といった分析プラットフォームを活用する。企業内に存在する情報の大部分を構成している非構造化データの分析プラットフォームであるAutonomyと、構造化データを高速に分析できるVerticaの組み合わせによって「情報を意味ベースで処理する」ことが可能になるという。これにより、センサ情報、ソーシャルメディア上のデータなどから価値を見つけ出すビッグデータの時代において「企業が扱えるデータのすべてを使って、迅速かつ適切な意思決定ができるようになる」とする。
Whitman氏は、HPを他社と差別化する要素として「広範囲なポートフォリオ」「コミットメント」「すばらしいエンジニアリングによるイノベーション」「パートナーへのアプローチ」「オープン性」といった点を挙げつつ、最後に最大の要素として「顧客が何を求めているかを考え、顧客にとって最も意味がある行動ができる従業員がいる」ことを付け加えた。