「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは変化できる者だ」
ダーウィンの進化論を引用した、このGerstner氏の言葉が冒頭のPalmisano氏の言葉へと“進化”していったともいえる。では、次にゲームのルールを変えるのは誰か。その中身は何か。IBMでは今年1月からCEOを務めるVirginia Rometty氏が、そのチャレンジを引き継いでいる。
「流通業のビジネス構造が大きく変わりつつある中で、ICTの果たす役割はますます重要になってきている」
(富士通 下島文明 執行役員常務)
富士通が8月23日、物流ソリューションの新ブランド「Logifit(ロジフィット)」シリーズと、その第1弾製品「Logifit/M-物流KPI」を発表した。下島氏の発言は、その発表会見で同社の流通ソリューションビジネスへの意気込みを語ったものである。

下島氏によると、流通業界はこれまで、生産者、メーカー、卸売業者、小売業者がそれぞれの役割のもとで商品供給や情報提供を行ってきたが、最近ではインターネットの普及によって、それぞれが消費者に直接接点を持つ機会が増えてきた。それに伴って物流の形態も多様に広がりつつあるという。
そうした中で今、消費者起点の流通業に求められているのは、「生産者の見える化」「流通(物流)経路の見える化」「リアルとネットの融合」「物流の柔軟な対応」の4つだと指摘。これらに対応するために、最新のICTを活用してビジネスアプリケーションを抜本的に刷新したいという声が、ここにきて多くの流通業者から寄せられるようになってきたという。
そんな流通業界のニーズに、物流ソリューションとして応えたのがLogifitシリーズである。富士通では今回の物流向けのほか、流通業向けの戦略ソリューションとして、小売業向けの基幹MD(マーチャンダイジング)システムや、流通業界のデータ交換方式を定めた次世代EDI規格である流通BMS、メーカー向けの生産管理、農業経営の効率化を図るクラウドサービス、そして消費行動やモノの流れに関するビッグデータ活用ソリューションなどを取り揃えている。
新たに発表したLogifitシリーズは、これまで同社が提供してきた物流管理や輸配送管理などの物流関連ソリューションを一本化し、新ブランドに統合したものだ。これを機に、基盤を共通化して物流現場のデータの一元管理を実現し、データの分析結果を物流業務全体のマネジメントの強化に役立てられることを目指したとしている。
そして下島氏は、自身のプレゼンテーションの最後にこう強調した。「流通業界でのICT利活用でこれから最もインパクトが大きいのは、ビッグデータを活用してビジネス価値を上げていく動き。これは私どもにとって大きなビジネスチャンスだととらえている」。まさしくビッグデータ活用の効果が大きいと目される分野だけに、これからさらにどのようなICTの進化が見られるか、注目しておきたい。
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