「大日本印刷との業務提携によって、両社の強みを融合させたワンストップサービスを提供していきたい」
(日本ユニシス 黒川茂 代表取締役社長)
日本ユニシスの黒川茂 代表取締役社長
大日本印刷と日本ユニシスが1月16日、共同で記者会見を開き、昨年8月に結んだ資本・業務提携に基づいて、新規市場拡大を実現する事業基盤を連携強化していくと発表した。黒川氏の冒頭の発言は、その会見で、両社による異業種提携が顧客にもたらす新しい価値について語ったものである。
業務連携の領域としては、両社顧客への提案力強化を目的とした「マーケティング・販売連携」、両社の事業を推進するうえでのベースとなる「サービス事業基盤の強化」、企業とその先の顧客への対応力やスピード力を強化する「マーケティングプラットフォームの共同開発・展開」、両社の成長戦略における重点テーマである「グローバル展開」といった4つを挙げ、これらを順次進めることにより、2016年度に両社で500億円の売り上げを目指すとしている。
中でもマーケティング・販売連携は、昨年10月から具体的な提案を実施しており、電子出版や電子図書館、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスなどの関連分野において200件以上の案件が進んでいるという。また、サービス事業基盤の強化では、両社のデータセンターとクラウドを基盤とした国内最大規模の高品質なサービス網を構築し、現状の両社の顧客に限らず、クラウド技術を活用した最適なサービスを幅広く提供する体制を整備していく構えだ。
黒川氏は会見で、「当社はこの提携によって、大日本印刷が持つ3万社を超える顧客に向け、利用者視点のサービス展開を加速させ、新規市場の開拓とシェア拡大を早期に実現したい」と力を込めた。
さらに同氏は、両社の提携によって大きく2つの新しい価値を顧客に提供していくとし、その1つに挙げたのが冒頭の発言である。大日本印刷は印刷技術やマーケティング関連商材に、日本ユニシスはICTソリューションにそれぞれ強みがあり、これらを融合させたワンストップサービスが顧客に新しい価値をもたらすと強調した。
もう1つの新しい価値としては、顧客のその先の顧客、さらには社会を有機的につなげ、それぞれの利便性や効率性を高めるためのマーケティングを中心とした新しいサービスを挙げた。これを両社でスピーディーに提供していくという。また、こうした取り組みによって生まれる新しい市場に対し、顧客との連携も積極的に図り、果敢にチャレンジしていきたいと意欲を示した。
こうしてみると、日本ユニシスにとっては今回の提携によって、大日本印刷の3万社を超える顧客が非常に有望な“潜在需要”となった格好だ。これは大きな魅力といえよう。
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