三国大洋のスクラップブック

静かに高まる「低価格iPhone投入」への圧力 - (page 2)

三国大洋

2013-01-25 20:27


Li Yue CEOが率いるチャイナ・モバイルは7億ユーザーを抱える
Li Yue CEOが率いるチャイナ・モバイルは7億ユーザーを抱える

 中国に目を向けると、携帯事業者による販売補助を付与せずに売る方法が大勢を占めるなかで、iPhoneに比べて20%以下の値段で売られている国産品「Coolpad」(チャイナ・ワイヤレス・テクノロジーズ製)というブランドのスマートフォンが人気を博している。

 勢いはなかなかのもので、2012年第3四半期のメーカー別シェアは、1位サムスン、2位レノボ、3位ZTE、4位ファーウェイ、5位チャイナ・ワイヤレスと、アップルを抜いて第5位にランクインしたという話も伝わっている

 Bloombergの記事には、中国のスマートフォン市場について「今年の販売台数は推定3億台(前年比44%増)」「主流となるのは700元程度の製品」などとするIDCのデータが引用されている。チャイナ・ワイヤレスが販売する「Coolpad 8060」の小売価格が619元、それに対してiPhoneは最も安いiPhone 4 8GB版で3088元、iPhone 5は5288元からとあるから、やはりiPhoneは相当な高嶺の花とみられているのかもしれない(アップルは最近、中国での分割払いによる販売を開始したが、それでも……である)。また、アップルが旧世代機種の値段をかなり安めに設定しても、まだ埋められないギャップがある、といった感じも伝わってくる。

 なお、アップルと中国というと、どうしてもチャイナ・モバイル(中国移動)との関係に触れないわけにはいかない。

 もう何年も前から可能性が浮上しながら、なかなか実現しないアップルとチャイナ・モバイルの取引については、いまさら「中国独自の3G規格TD-SCDMAが云々」などと言う必要も無いだろう。ただし、チャイナ・モバイルのサービス加入者がすでに約7億人に達しており、しかもその大半がこれから3G端末に移行するという段階にあること、同時に4G LTEのサービス展開について、チャイナ・モバイルが「今年中には……」としながらも具体的なスケジュールを正式発表していないことは、改めて押さえておきたいポイントだ。

 「7億」は、9月にiPhone 5が一番最初に投入された9つの市場(日、米、加、豪、英、仏、独、香港、シンガポール)の総人口とほぼ同じか、それより少し多い数。つまりアップルにとっては「それだけ大きな潜在市場が、手つかずのまま残っている」ともいえるし、同時に「LTE展開の目処が立つまで、(製品投入について)様子見を続けるべきかどうかの見極めがますます難しくなっている」といえるかもしれない。

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