決算発表前の1月22日にFortuneに掲載された「サムスンの世界制覇に至る道」と題する記事では、米市場でサムスンが展開するアグレッシブなマーケティングの様子を詳しく報じている。
ナイキから引き抜いたトッド・ペンドルトンを最高マーケティング責任者(CMO)に据え、巨額の費用を投じたキャンペーンを展開。2011年には1億9100万ドル、2012年(1〜9月)にはなんと3億4900万ドルをキャンペーンに投じたという。
iPhone 5発売の行列に並ぶアップルユーザーを小馬鹿にしたようなテレビCMもふくめ、マーケティング戦略がかなり奏功しているらしく、上記のWSJの記事には「マーケティングの奴隷にはなりたくないと思っているけど、サムスンの広告はほんとうに目につく(その成果で、最近になってiPhoneからサムスン製品に乗り換えた)」という若い女性のコメントも紹介されている。
また、「単に宣伝がうまいだけでは、これほどたくさんの製品は売れないよ」という点を強調するつもりなのだろう、「2011年の研究開発(R&D)費が87億ドル」「全社員22万人のうち、4人に1人がR&D関連の仕事に従事」、先のCES 2013でも披露された「曲がるディスプレイ」を開発するような技術力の高さにも触れている。また、ソフトウェア開発の強化を目指してシリコンバレーのR&D拠点を拡充、パロアルトにはベンチャーのインキュベーション施設を開設したそうだ。
Fortuneの記事には「Android端末全体の45%がサムスン製」というグーグルのアンディ・ルービンによるコメントが紹介されているが、グーグルはモトローラを買収したことから、これがアキレス腱になりかねないという指摘もある。ただし、サムスンの幹部は「どれかひとつのOSに決め打ちしないのは意図的な選択」と回答した。
いっぽう、「マルチデバイス時代には自前のOSがあったほうがいい。そうすれば、スマートフォンにテレビ、洗濯機までつなげるようになる」というのがFortuneの見方。そうした取り組みをまだ見せていないサムスンは、大きなチャンスを逃す懸念もあると指摘している。