過去最高の四半期決算を1月24日に発表したサムスン。しかし、その株価が踊り場に差し掛かっているようだ。
昨年には携帯電話機市場全体でもスマートフォン市場でも出荷台数で世界第1位につけた。また、注目を集めた第4四半期——iPhone 5投入後のアップルとの争いも、同社の好調ぶりを示す結果となった。
Trefisのグラフ
同期の決算内容はというと、携帯端末を含む通信関連部門の売上が31兆ウォン(前年同期比50%以上増で294億ドル、1円12ウォン換算で2兆6700億円)、営業利益は5兆4400億ウォン。さらに「Galaxy S III」「Galaxy Note II」などの好調に牽引されるかたちで半導体事業とディスプレイ事業も改善、加えてテレビ関連をふくむ家電事業も盛り返し、全社の売上は56兆ウォン(前年同期比19%増)、営業利益は8兆8400億ウォン(同89%増)、純利益7兆400ウォン(同76%増)などとなっている。
スマートフォン市場を取り上げたWall Street Journal(WSJ)の記事には「いまでもアップルのほうが売上も多く、利益は2倍以上近い」などとある。ただし、米国の様子を伝えたWSJの記事、あるいは香港やシンガポールで取材したReutersの記事などから、少なくとも「スマートフォン市場でのモメンタム」という点ではサムスンにだいぶ分があるような感じも伝わってくる。
勢いを感じさせるサムスンの株価が、なぜ決算発表後に2日続けて下落したのか。
Bloombergはその理由をふたつ挙げた。ひとつはウォン安によるもの、そしてもうひとつはスマートフォン市場の成熟と、そのなかでの中国勢からの脅威だ。
Bloombergの記事を読むと、日本の安倍政権が引き金を引いた為替戦争(円下落、ウォン上昇)の影響で、サムスンでは今四半期(1〜3月期)の営業利益が3兆ウォン(28億ドル)減少する可能性があると出ている。いっぽう、スマートフォン市場については、今期の予想出荷台数が5970万台の見通し。ハイエンドでのアップルとの争いに加えて、ファーウェイ、ZTE、レノボやチャイナ・ワイヤレス(Coolpadブランド)などの中国勢の追い上げをどうかわせるかが課題だという。