三度ピューリッツァー賞に輝いたトーマス・フリードマン(2007年11月)
トーマス・フリードマンといえば、『レクサスとオリーブの木』『フラット化する世界』といった一連のベストセラーで、日本でもお馴染みの有力ジャーナリスト。根城とするNew York Times(NYT)にはいまでも頻繁に寄稿しており、ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマンなどと並ぶ同紙の看板コラムニストのひとりでもある。
いきなり話がそれてしまうが、ちょっとした雑学として、著書『これからの「正義」の話をしよう』やテレビ番組『ハーバード白熱教室』などで知られるハーバード大ロースクール教授のマイケル・サンデルとは同郷の出身。二人ともミネソタ州ミネアポリス郊外で育ち、子どもの頃からの知り合いだ。
そのフリードマンが先ごろ、米国で昨年あたりから活発化しはじめた「MOOC」を大絶賛するコラムを書いた。
MOOCとは「Massive Open Online Course」の頭文字を取ったもので、文字通り「世界中の大勢の人々が、誰でも参加できるオンラインの授業を受講している」という話である。
非常に刺激的なこの話を読んでいて、同時にちょっと空恐ろしくなったのは、「グローバルな労働力市場で、自分という労働力(商品)がほぼ完全にガラケー化している」という点を改めて自覚させられたから。年齢(とし)を考えれば「いまさらジタバタしても仕方ない」などという消極的な考えも思い浮かべつつ、それでもやはり「……(気になってしかたない)」といったところである。
この点については、のちほど改めて書くことにして、さきにフリードマンの話から目についた点をざっと書きだしておく。