イスラエル発--Intelはイスラエルに4つの研究開発施設と、同社最大規模となる半導体製造工場を有している。そしてこれらの施設群は、同社の将来におけるハードウェア路線の決定に大きくかかわっている。
マイクロサーバ製品やモバイル製品におけるIntelの未来がどういったものであれ、同社のプロセッサは世界中で販売されているおびただしい数のPC(そして「Mac」)に搭載され、その力を発揮している。このため、世界中のハードウェアメーカーの力の源泉がIntelにあると言えるのであれば、カリフォルニアに拠点を置く同企業の力の源泉はイスラエルの施設にあると言ってもよいはずだ。
Intelの関係者は先週の初めに、4つの研究開発施設と、Fab 28と呼ばれている同社最大規模の半導体製造工場が位置するイスラエルにおける事業の全体像を明らかにした。それによると、キリヤットガットという南イスラエルの街にあるこの工場は、ウルトラブックの第2世代(Intelによると、新たなコンバーチブル型やタッチ型の製品を含め、市場には現在およそ140種類の製品が出回っているという)の頭脳とも言える22nmプロセスのチップを設計する拠点となっている。
IntelのシニアコーポレートバイスプレジデントであるMooly Eden氏は、同週にテルアビブで開催されたIntel Israelの年次プレスイベントにおいて、「それだけではない」と述べたうえで、「ハイファの研究開発チームは製造部門と協力しあって2012年、7WのScenario Design Power(SDP:メディアの再生やちょっとしたゲーム、簡単なメディアの作成といった、一般的なアプリケーションの使用時に基づいた消費電力の指標)で稼働するチップの開発に必要な設計上のブレークスルーを達成した」と述べた。これによって、今までFab 28で製造されてきた「一般的」な「Ivy Bridge」よりも消費電力の低いプロセッサを製造できるようになるとIntelは述べている。
Ivy Bridgeに対するこういった改善は、ウルトラブックの第3世代に搭載される予定の「Haswell」プロセッサに取り込まれる。Haswellを搭載したウルトラブックはおそらく2013年の夏までに市場に投入されるだろうが、既にこの新プロセッサの製造は始まっている。Eden氏によると、HaswellはIvy Bridgeや「Sandy Bridge」と同様に、イスラエルと米国のチームが協力しあって設計したものだという。一方、タブレット向けのAtomプロセッサである「Clover Trail」(現在、新型の「Windows 8」タブレットで採用されている)も、イスラエルで大部分の設計が行われ、生産も一部行われている。
Intelのテクノロジおよび製造グループのバイスプレジデントであり、Fab 28のプラントマネージャーでもあるMaxine Fassberg氏は、「2013年を通じて、われわれはキリヤットガットでHaswellプロセッサの製造を続け、同工場はテクノロジの最先端をリードし続けることになる」と述べている。
「2012年を通じて、われわれは製造コストの削減と製造プロセスの改善を成し遂げてきた。Intelによるこの工場への投資は実を結び、われわれの生産能力の改善に大きく役立っている」(Fassberg氏)
Eden氏によると、Intelは同社のイスラエルにおけるオペレーションコストとして2012年に約10億ドルを投資しており、その大半はFab 28に対するものだったという。