Ovumの主任アナリストであるTony Cripps氏は、この新しいUIの導入は冒険だが、必要な取り組みだと述べている。
「Microsoftは、Windowsを競争力のあるプラットフォームとして維持するために、まったく異なることをする必要があった。われわれはWindowsのUIに長い間慣れ親しんでおり、大きな進化はなかった。コンピューティングデバイスの動作や人との関わり方について多くの人が抱く期待は、2、3年前とは違うものになっている」(Cripps氏)
実際、この新しいUIは、Microsoftの計画の中でもっとも異論が少ない部分ということになるかもしれない。Cripps氏は次のように述べている。「これに不満を持つユーザーもいるが、2年後には、それを使っていなかった頃のことを誰も覚えていないという結果になるだろう」
WinRT(および「Windows RT」)の新しい世界
しかし、変わったのはインターフェースだけではない。Windows 8は、Win32からWindows Runtime(WinRT) APIへという、新しいプログラミングモデルへの移行プロセスの一部でもある。長期的に見た場合、開発者やユーザーにとって、これはインターフェースの変更よりもずっと本質的な変化かもしれない。
Microsoftは、Windows 8の導入が増えるに従って、Windows Storeが今よりもはるかに重要なソフトウェア配信メカニズムになり、大規模なアプリストアになることを望むだろう(ただしこれが実現するためには、Windows Storeはもっと改善される必要がある)。
フリージャーナリストのSimon Bisson氏はWinRTへの移行について、「Windowsの中心がもはやデスクトップではない」ことを意味していると米ZDNetの別の記事で指摘している。WinRTはむしろ、Azureを通じたクラウドアプリの世界への第一歩だ。Windows 8は、Win32とWinRTをまたがる、移行期のリリースだと言える。
これは、常に接続を必要とし、純粋にクラウドベースのアプリを指向するGoogleの「Chrome OS」ほど劇的な変化ではないが、基本的に同じ方向に向かっている。MicrosoftのPCが継承してきたものよりもむしろスマートフォンのモデルに近い、使いやすく管理しやすいデバイスや周辺機器の世界へと向かっているのだ。
「すべてのアプリケーションが新しいWindows Storeのインターフェースに登場するようになるには、特にビジネスの世界ではかなり長い時間がかかるだろう。その間、MicrosoftはWinRTの新しいツールを使ったアプリケーションを作るよう推奨し続け、いずれは現在のソフトウェアも新しいWinRT版で置き換えられていくだろう」とGartnerのSilver氏は述べている。