キヤノンMJが挑んだ「知の共有」によるマーケティング変革

大河原克行

2013-03-08 12:34


 日本IBMが3月6日に開催した「CMO+CIO Leadership Forum」において、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)の村瀬治男会長が基調講演に登壇。同社のITを活用したマーケティング活動への取り組みを紹介した。

 村瀬会長は講演の冒頭、「近年ソーシャルネットワーキングの時代や、第3のプラットフォームといわれるように、個人や市民が世界に向けて簡単に情報を発信できる時代が訪れている。この時代において企業がなすべきことは、人々が発する情報をキャッチし、適切にマネジメントすること。それを可能にするのが、ビッグデータの分析やソーシャルリスニングの技術、そしてコミュニケーション力だ。つまり、聞く力であり、伝える力である」と、人々の声に耳を傾けることの重要性を説いた。

村瀬治男氏
キヤノンマーケティングジャパンの村瀬治男会長

 しかし、「いかにITが進化しても、重要なのは人である。お客様なしに企業は成り立たない。お客様の声に耳を傾け、良い関係を築き、維持していくことが、企業にとっての最優先課題である」と強調。

 「ITの進化によってお客様と企業の距離が極端に縮まり、接点が根本から変わった。それに伴い、マーケティングのスピードも大幅に速まった。キヤノンもFacebookを活用する体制を作り、ビッグデータを新たなビジネスに応用するための準備を進めている」という。

 村瀬会長は先ごろ発表したコンパクトデジカメ「PowerShot N」が、SNSユーザーが求める「センスがいい」「便利」といったニーズに焦点を当てたものであることを示す一方、ミラーレス一眼カメラ「EOS M」では、ホームページ上でカメラの好きな部分に「いいね!」を押してもらう仕組みを構築。その数によって、消費者がどの特徴に興味関心を持っているかを知ることができるようにした事例を紹介した。

知的競争力の強化とワークスタイルの変革

 今回の講演では、B2Cだけでなく、企業向けソリューション分野での取り組みも紹介。そのなかで同社の「セールススタイルの変革」に触れた。

 村瀬会長は、顧客の課題に応じた的確なソリューションをタイムリーに提供することが求められている現状を示しながら、「従来のIT投資は業務効率化を目的とするものが多かったが、現在は知的生産性の向上が主目的となっている。知的競争力の強化と、ワークスタイルの変革がビジネスの成否を分ける」と語った。

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