日本マイクロソフトは3月21日、同社のビッグデータ戦略を説明した。同社は「Big Data for Everyone」と「全社員データサイエンティスト化」を日本国内でのビッグデータ活用の成功ポイントと位置付けている。
同社の業務執行役員で、サーバープラットフォームビジネス本部 本部長を務める梅田成二氏は「専門家ではなく、誰もがデータ分析が可能になること、現場社員によるビジネスシーンでの実活用が行えること、そして、大量データを高速分析できる基盤の整備が必要である」と説明、それに向けた製品やサービスを投入していく姿勢を示した。梅田氏は、各種調査データから示してみせながら、日本企業の現在の状況をこう解説した。
梅田成二氏
藤井一弘氏
斎藤泰行氏
「約7割の企業が、定型レポーティングにしかデータ活用ツールを使用しておらず、データマイニングまで実現できている企業は3割。その理由は、企業の利用者のスキル不足と、データ処理時間が増加しているため。Hadoopなどの最新技術も使いこなされていないのが実態である。月次よりも鮮度が高い、時間ごと、日次や週次のデータを利用している企業は2割程度に留まっている。データをダイナミックに活用できていないといえる」
同社のエンタープライズ ソリューション営業本部 本部長の藤井一弘氏も以下のように説明している。
「お客様の声を聞くと、売上高を伸ばすために大量のデータ分析を行うことに対する関心が高い。また、センサデータを活用して、次のビジネスや投資にどうつなげていくか、そして、社内にあるデータと外部のデータとどう組み合わせるのかといった点での要望が強い。しかし、自社データの精度が低い、社内にデータ分析の専門家を置けない、ビジネスを推進する人にデータ分析ができないといった問題がある。こうした課題解決は、CIO(最高情報責任者)にとって関心が高い分野である」
日本マイクロソフトでは、大量データの高速処理に向けて「SQL Server 2012」を活用した安価に活用してもらえる“リアルビジネスビッグデータアプライアンス”として3製品を提供していることを示した。
ひとつは、2012年12月に発表したフラッシュメモリストレージを利用し、他社データベースに比べて4倍の性能を実現できるという「SQL Server SSD Appliance」である。このアプライアンスは、2012年12月時点で日本ヒューレット・パッカード(HP)、デル、日本ユニシス、東芝ソリューション、ソフトバンクテクノロジー、SCSK/NECのハードウェアに対応していたが、さらに日本IBM、日立製作所、富士通からも選択可能になった。
2つめは、2009年に投入した対称型マルチプロセッシング(SMP)型データウェアハウス(DWH)の「Fast Track Data Warehouse」。事前検証済みのリファレンスアーキテクチャとして提供されるものであり、DWHに格納された構造化データ分析に最適化した機能を搭載している。
3つめは、この5月からビッグデータ対応アプライアンスとして提供する「Microsoft SQL Server 2012 Parallel Data Warehouse」となる。ペタバイトクラスの大規模DWHであり、高性能を実現するという超高速並列処理(MPP)を採用。非構造化データと構造化データを一元化した処理の実現やHyper-Vでの仮想化などでノード集約によるコスト削減が図れるなどとした。
SQL Server 2012 Parallel Data Warehouseは「(分散並列処理フレームワークの)Hadoopとの連携を重視。Hadoopによる非構造化データをデータベースに格納された構造化データと連動させながら、現場が利用できるようにするのが最大の差別化要因。HDFS(Hadoop Distributed File System=Hadoop標準のファイルシステム)上のデータを仮想的な表として定義を可能としたほか、使い慣れたウェブブラウザやExcelから活用できるのも特徴」(サーバープラットフォームビジネス本部アプリケーションプラットフォーム製品部部長の斎藤泰行氏)。このアプライアンスは、デルと日本HPからハードウェアが投入され、アバナード、NTTデータ、NEC、野村総合研究所の4社がSIとして展開する。