無料または安価で、質がよく、高速な個人向けクラウドストレージサービスを利用することは可能だろうか。驚くべきことに、それは可能だ。
リモートファイルストレージが使われ始めてから何十年も経つが(私は80年代にはもう、FTPやNFSを使って、Unixサーバ上のリモートストレージを利用していた)、一般向けのクラウドストレージは、DropboxのCEOであり創立者のDrew Houston氏が「USBメモリを忘れずに持って行く」のにうんざりした2007年までは、事実上存在しなかった。
「私は、以前いた新興企業で使っていたファイルを共有しようとして、添付ファイルの海に溺れていた。ある時、自宅のデスクトップPCの電源が文字通り爆発して、私のハードディスクの1つが故障した。バックアップはなかった」と同氏は述べている。
その時彼は、「自分が見つけられるあらゆるサービスを試したが、どの製品も必ずインターネットの遅延の問題や、巨大ファイルを扱えない、バグがある、あるいはやたらと頭を使う必要があるなどの問題を抱えていた」ことから、初めて普及したクラウドベースの個人向けファイルストレージサービスであるDropboxのアイデアを思いついた。それから6年経ち、今ではあらゆる会社が何らかの形で、サービスとしてのインフラ(IaaS)としてクラウドストレージを提供しているような状況になっている。
10種類のクラウドストレージサービスを眺める
これらのサービスはあらゆる場所で登場しており、価格や無料で利用できるストレージの量、追加サービスなどは、毎日のように変化している。この記事では、2013年の始め時点での、各サービスの概要を説明する。
Amazon Cloud Drive
多くの人がAmazonとクラウドという言葉の組み合わせから想像するのは、おそらく最大のパブリッククラウドサービスである「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)の方だろう。しかし、Amazonのサービスは企業向けのものだけではない。
「Amazon Cloud Drive」は、無料で5Gバイトのストレージを提供している。導入された当初は、これを音楽のストリーミングにも利用することができた。今では、この機能は別のサービスである「Amazon Cloud Player」になっている。 このサービスは今となってはむしろ小さいと言えるもので、250曲をアップロードして、PCやMac、Appleと「Android」のデバイスにストリーミングすることができる。
Amazon Cloud Driveは、ウェブおよび「Windows」アプリ(現在はVistaおよび7のみで、Windows 8やXPはネイティブサポートされていない)、Mac、Androidデバイスからアクセスできる。しかしこのアプリには、ファイルをアップロードする機能が追加されただけだ。ほとんどのファイル操作には、ウェブブラウザが必要となる。
ストレージ容量を増やしたい場合、Amazonは1Gバイトあたり50セントで、20Gバイトから1000Gバイトまで、いくつかのレベルのサービスを提供している。例えば、20Gバイトであれば、年10ドルで手に入る。
追加機能をいくつか持っているクラウドストレージサービスとしては、Amazon Cloud Driveはまあまあだが、本当に私がこれを気に入るには、デスクトップやデバイスとの統合のレベルをもっと上げてもらう必要がある。主に使うデバイスが「Kindle Fire」である人にとっては、Amazon Cloud Driveは最適な選択かもしれないが、ほとんどの人にはもっといいサービスがあるはずだ。