MSとクアルコムのCEOがNBAチームをめぐって綱引き中 - (page 2)

三国大洋

2013-03-28 18:32

 実業家グループのリーダー格はChris Hansen氏。NBA関連の記事ではもっぱら「成功したヘッジファンド経営者」と紹介されている。

 しかし、実はFacebookの株式公開で推定10億ドル近く儲けていたり、DropboxやEvernoteにも投資したり、最近でもPinterestに2億ドルも出資した人物なので、当人が「シアトル育ち」と言っても、事実上はシリコンバレーの人間といえそうだ。

 また、2012年5月に掲載されたForbesの記事には、NBAチーム誘致に成功した場合の新アリーナ建設に備えて、シアトルの「Safeco Field(MLBのSeattle Mariners本拠地)の南側に拡がる一帯の土地を押さえていた」とあるから、プロスポーツチームの本拠地を核に据えた市街地再開発計画でしっかり儲ける算段もしているものとみられる。

 そんなHansen氏に地元財界を代表するような形で協力することにしたのが、MicrosoftでCEOを務めるSteve Ballmer氏だ。

 この2人が中心となった投資家グループが「Maloof一族からKingsの約65%を取得することになった」というニュースが流れたのが今年の1月。なお、この時のKingsの評価額は5億2500万ドル。2010年にオーナーチェンジがあったGolden State Warriorsの4億5000万ドルを大きく上回り、NBAチームをめぐる取引では過去最高値を更新した。

 ところが、である。

 Kingsの地元サクラメントは、カリフォルニア州の州都とは言いながらもスモールマーケットで、プロスポーツチームもKingsただひとつ。さらに2008年から現在まで市長を務めるKevin Johnson氏(通称KJ)は地元出身の元NBAプレーヤーで、現役時代には3度もオールスターに選ばれ、1994年の世界選手権では米国代表チームでプレーしたほどの有名選手。

 NBAファンの中には、現役時代にPhonenix SunsのポイントガードとしてKJがCharles Barkleyらとともに全盛時のChicago Bullsと戦ったNBAファイナル(1992-93シーズン)を思い出す方もいるだろう。

 そんな経歴を持つKJとしては、「自分が市長の時代に地元チームが流出した」なんてことが起こったら一生の痛恨時だ。2011年にアナハイムへの移転話が出たときは、すぐに反対運動を開始。その後、総工費4億4700万ドルをかけた新アリーナ建設(その内の2億5000万ドル以上を市が一時的に肩代わり)という話もまとまったが、これがMaloof兄弟の優柔不断でひっくり返されたのは前述した通り。

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