一方のシアトル側には、かつての「ハワード・シュルツの呪い」の再現にならないかと心配する声もあるようだ。
ハワード・シュルツの呪いとは、一時期Seattle Supersonics(Sonics)のオーナーだったHoward Schultz(Starbucksの会長 兼 社長 兼 CEO)がチームを手放したりしなければ、Sonicsがオクラホマシティーに移転することもなかったはず、という話。
シアトルを離れたSonics(現Oklahoma City Thunder)は、その後メキメキと力をつけ、2012年あたりからは王者Miami Heatと並んでNBAを代表するような強豪チームになったものだから、シアトルのNBAファンとしてはなおさら複雑な気持ちを抱いても不思議はない状況なのだ。また、その分だけ「Sonicsを取り戻したい」という想いも募っているという。
シアトルにとってNBAチームの誘致は一大事なのだ。
そうした双方の事情が絡むこのゴタゴタ話に、どうしてQualcommのPaul Jacob氏がクビを突っ込み、サクラメント側に加勢することにしたのか。この疑問に答えてくれそうな話は、残念ながらまだ見つかっていない。
ただし、プロスポーツチームのオーナーシップというのは、当然たいそうな億万長者しか参加できない世界の話なので、KJが話をできる相手というのも自ずと数が限られていたのかもしれない。
なお、テクノロジ業界とつながりの深いNBAチームのオーナーというと、真っ先に名前が挙がるのはMicrosoft共同創業者のPaull Allen氏だろう。Portland Trailbrazersのほかに、NFLのSeattle Seahawksも所有している。そして、Yahoo!へBroadcast.comを売却して大儲けしたMarc Cuban氏(Dallas Mavericks)も有名だ。
2012年にはRobert J. Pera氏という30歳代半ばの起業家が、自ら創業したUbiquiti Networksの株式公開で得たお金でMemphis Grizzliesの大株主になったりもした。
また、大のバスケットボールファンとして知られるAppleのSVP、Eddy Cue氏あたりは、いずれどこかのチームのマイノリティオーナーになりそうな感じである。