アナリティクス先進企業は目的が明確、データが起点ではない:SAS - (page 3)

大河原克行

2013-04-18 14:28

情報の海に溺れない

 特別講演では、McKinsey & CompanyのプリンシパルであるPaul Mclnerney氏が「ビッグデータを活かした意思決定が生み出す圧倒的な競争力」をテーマに講演。企業におけるビッグデータ活用だけでなく、サッカー日本代表などがビッグデータを活用していることを紹介しながら、「ビッグデータはスポーツの世界のほか、企業ではBtoBやBtoCにかかわらず活用され、多様な業界で圧倒的な競争力を発揮することにつながっている」とビッグデータが広く活用されていることを説明した。そして、いくつかの具体的なビッグデータ活用事例を示しながら、ビッグデータとアナリティクスの価値を示した。


Paul Mclnerney氏

 「英(の小売業大手)TESCOでは、ビックデータの活用で15年間で営業利益を約6倍に拡大している。Amazonは、Walmartの4倍の売り上げ規模を誇り、圧倒的なトップであるのにもかかわらず、前年比46%もの成長を遂げている。Amazonは、売上高比5.7%の技術投資を行い、ビッグデータ技術への集中投資でビジネスモデルを確立しており、それが成長を下支えしている。Amazonの画面に表示されるレコメンデーションによる売上高は、2000年頃には全体の5%程度だったが、今では35%にまで上昇しているという。これは約2兆円の売上げ規模であり、小さなレコメンデーションの窓だけで、日本の大手小売企業の販売規模を超えている」

 Mclnerney氏は、日本企業がビッグデータ活用に成功するための4つの優先課題として、「意思決定からスタートし、バランスのとれたアプローチを用いる」「ビックデータを専門とする希少な人材を確保する」「組織内のビッグデータ利用を推進するプロセスを構築する」「フロントラインのビッグデータ利用を可能にするプラットフォームとアプリケーションを開発する」という点を挙げ、「最も大事なのは、情報の海に溺れずに、意思決定を優先し、そのためにデータを活用するという考え方である」と提言した。

 同カンファレンスでは、オルビス、東京海上ホールディングス、トーマツ、日本貿易振興機構(JETRO)、日本たばこ産業、村田製作所といった企業から最新のアナリティクス活用事例とソリューションなども紹介された。

 ビッグデータ時代のアナリティクス活用でどんな成功事例があるのかが、日本の企業経営者の大きな関心を集めているのは事実だ。今回のカンファレンスを通じて、SASの技術とソリューションを活用したアナリティクス活用のユーザー事例の紹介は、日本の経営者の要求に応える内容になったとも言える。セッションのすべてが募集から2週間で満席となったこともからも、それが証明されると言えるだろう。

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