「通信・情報、金融、官公庁・政府機関、製造、流通、サービスといったあらゆる業種で採用されている」としたほか、ビジネスソリューションでは、データ連携やデータ統合、ビジネスプロセスやビジネスルールの改善などでサービス連携基盤の「JBoss Enterprise SOA Platform」などが利用されていることを示し、「国内導入事例が急増している」と述べた。
インダストリーソリューションでは、保険業務イメージワークフローなどで実績が上がっており、認定クラウドパートナーとの協業案件が増えていることを示した。
廣川氏は「課題をあげるとすれば、地方都市での認知度が低いこと。LinuxやJBoss以外の製品を知ってもらうことが必要である」とし、「日本の企業に世界標準のソフトウェアを提供し、攻めの経営を後押ししたい」などと語った。
そのほか、廣川氏は「2008年に5カ年計画に取り組み、2倍の売上高成長を目標としてきた結果、2.3倍の成長を遂げた。今後5年間で、さらに倍にしていきたい」と中期的な目標についても言及した。
求められるLinux以外の事業の柱
全世界の2013年度の業績についても廣川氏は説明した。
「2013年度は投資の1年であり、年度初めには4000人だった社員が年度末には5500人に拡大した。メッセージングのFuseSource、BPM(ビジネスプロセス管理)のPolymita、クラウド管理のManageIQの3社を買収した。売上高は、13億2900万ドルとなり、前年比17%増となった。買収しながらも、これだけの成長を遂げたのは予定通りの業績であり、11年連続での連続売上成長を記録した。これはIT業界でも稀有なものだといえるが、またこの成長は続くと考えている」
日本法人の業績については、「円ベースでは、グローバルに引けを取らない成長を遂げている」と説明した。
2014年度のビジョンとして、100%クラウドレディの製品で展開する「オープンハイブリッドクラウドの実現」、ストレージの仮想化による低コストでのデータ格納の実現と、ビッグデータを戦略情報として活用する「ビッグデータ戦略の推進」、2014年度からの新たな取り組みとなるエンタープライズクラスのディストリビーションを展開する「OpenSatckにおけるリーダーシップ」の3点をあげた。
OpenStackへの取り組みとしては、コミュニティ版のディストリビューション「Red Hat OpenStack RDO」と、OpenStackの機能評価支援制度「Red Hat OpenStack Early Adopter Program」の提供開始、パートナープログラム「RedHat OpenStack Cloud Infrastructure Partner Network」の設立などに言及した。
「世界最大級の通信会社がコミュニティ版を試験導入しているという実績が早くも出ている」とOpenStackを通じた実績を強調した。OpenStack RDOは技術者向けに機能などを評価するためのディストリビューションであり、OpenStackの開発コミュニティでの最新リリースとなる「Grizzly」がベース。Early Adopter Programでは、「Folsom」をベースにしている。
レッドハットにとって2014年度は、Linux事業に並ぶ、新たな事業の柱を構築するための第一歩となる1年になるだろう。その成果が、今後の継続的な成長を維持できるかどうかの鍵になる。
今後の注力分野