そして、ITがもたらす状況の変化として「大量のデータが生成され、2000億のモノとモノがつながり、1日に40万件のサイバー攻撃があるという今の状況にインフラは最適化できているのか、スピード感についていけるのかといったことが課題となっている。ユーザーに状況を聞くと、開発の遅延は41%、導入の遅延が34%、本番稼働の遅延が45%も発生している。インフラを最適化せずに、ビジネスチャンスを掴むことはできない」と状況を説明した。そしてシステムに何が求められているのかをこう解説した。
「インフラの最適化を実現する重要なキーワードは、オープンであること。そしてクラウド、モバイル、スマートな社会インフラ、セキュリティといった4つの切り口からとらえていくことが必要である。ITをビジネス価値へと転換していくには、ビジネスの現状と目標を明確にする“可視化”、インフラ利用を最大化し、サービスを最適化する“コントロール”、ビジネスに即応性を与える“自動化”が大切である。繰り返しになるが、ビジネスの変化についていくためには、今がターニングポイントであり、ITの変革が求められている」
Daniel Sabbah氏
モノのインターネットは何をもたらすのか
米IBMでソフトウェアグループの最高技術責任者(CTO)であり、次世代プラットフォームのゼネラルマネジャーであるDaniel Sabbah(ダニエル・サバー)氏が「ITビジネス基盤の最適化でイノベーションを加速する」と題して講演。Sabbah氏はITがもたらす変化として「2016年には10億人がスマートフォンを利用し、ビジネスアプリケーションの40%がスマートフォンで利用されるようになるという予測」を挙げた。
そこからは「モビリティが進化し、新たなワークロードに転換することで、その中で新たなビジネスチャンスが生まれることになる。また、モノとモノがつながるような新たなコネクションが生まれる。同時に、こうした動きはビッグデータをいかに活用するかという点につながり、ビッグアナリティクスがさらに重視される」ことを強調した。ここからシステムの在り方が変わってきていることを明言した。
「既存のデータと、それを活用するトランザクション系システムは、これまでのビジネスの根幹をなしてきた。その一方で、強固なセキュリティ環境とインターネットのスケーラビリティを取り込み、ソーシャルネットワークを介して提供される情報を活用するエンゲージメント型の新たなITシステムが重視されている。しかも、従来のITシステムとの相互運用性が求められている。ワークロードの変化、サービス提供のスピードの変化を捉え、価値を最大化することが大切である。ITがより効率化すると、そこで浮いた投資を新たなイノベーションに活用できる」(Sabbah氏)