Citrix Systemsが5月22~24日に開催した年次イベント「Citrix Synergy 2013 Los Angeles」では、「ビジネス環境のモバイル化」が大きなテーマとなった。
そのための製品としてCitrixは、クラウド化されたWindowsアプリケーションをさまざまなデバイスで利用可能にするデスクトップ仮想化ソリューションの最新版「Citrix XenDesktop 7」や、エンタープライズモバイルソリューション「Citrix XenMobile Enterprise」などを同イベント内で発表している。
ビジネス環境のモバイル化について、Citrixの幹部らはどのような考えを持っているのだろうか。各エグゼクティブの声を拾ってみたい。
Mark Templeton氏
「モバイルありきの働き方を」とTempleton氏
Citrix Systems 最高経営責任者(CEO)のMark Templeton氏は、「エンタープライズの世界ではまだモバイル化がうまく定義されておらず、例外としてモバイルが使われている状態だ」と見ている。しかし、この状況をTempleton氏は良しと考えてはいない。コンシューマーの世界ではすでにモバイル化が進んでおり「ビジネスでもまずはモバイルありきの働き方を考えるべきだ」と主張する。
「『まずはモバイル』というマインドを持ってほしい。モバイル化を進めることで、従業員はどこからでも職場環境にアクセスできるようになり、仕事の効率が向上する。システム設計においても、まずはモバイルでの接続を想定するべきだ。そうすることで、ビジネスの活動コストが削減できる。モバイルを例外と考えてしまうとコストがかさんでしまう。すべてのインフラはモバイル化を前提として考えるべきなのだ」(Templeton氏)
モバイルデバイスの普及によって、多くの企業ではBYOD(Bring Your Own Device)が進んでいる。このことで「IT部門の役目が変化しつつある」と語るのは、Citrix Systems ソリューションマーケティング担当バイスプレジデントのJoe Keller氏だ。
Joe Keller氏
これまではIT部門が従業員に利用すべき端末を買い与え、その端末を管理していたが、「今では従業員が自ら端末を購入し、自分たちで管理するようになった。この場合、端末に問題があると、ユーザーはIT部門ではなく購入したベンダーのサポートに連絡するだろう」とKeller氏。つまり、IT部門の役目は「端末を購入して管理することではなく、サービスを集約してユーザーに届けることになる」というのだ。
その結果、企業はハードウェアのコスト負担やサポートの手間から解放される。また、「IT部門はビジネスに重要なアプリケーションを開発したりサービスを発展させるために時間が割けるようになる」とKeller氏は述べ、BYODによってもたらされるメリットを説明した。
モバイル化が進んだ職場環境のもうひとつの在り方として思い浮かぶのは在宅勤務だ。Citrixをはじめとする多くの企業では在宅勤務を柔軟に取り入れているが、その一方で米Yahooでは新CEOのMarissa Mayer氏は在宅勤務を禁止したばかりだ。