アマゾン データ サービス ジャパンは9月13日、イベント「AWS Cloud Storage Day」を開催した。Amazon Web Services(AWS)のグルーバルストレージビジネスデベロップメントのシニアマネージャーであるJoe Lyons氏は、「AWSストレージサービスの紹介」という内容で基調講演に登壇。「AWSクラウドストレージはユーザーの皆様に、ストレージの初期導入コスト、運用に伴う重労働を廃し、データの活用、ビジネス上の付加価値創出だけに注力できる環境を提供する」とその有用性をアピールした。
ストレージ管理の重労働から解放される
Lyons氏はAWSの現状として「利用実態を見ると(1)オンプレミス環境にあるITリソースの拡大、(2)既存のアプリケーション&データのクラウドへの移行、(3)全く新しいサービスやアプリケーションをクラウド上で展開――という3点のいずれかでAWSを利用するケースが多い。既存ITリソースの補完的役割としての利用や、サーバアクセスに突出した利用ピークがある企業などに利用されている」と解説した。
Amazon Web Services グルーバルストレージビジネスデベロップメント シニアマネージャー Joe Lyons氏
AWSはこうした顧客の要望に対応するために「2003年、Amazon.comは年商52億ドルであり、従業員数は7800人で大量のサーバを運用していた。同様の年商規模の企業といえば、Charles SchwabやVMwareが該当するが、この当時Amazon.comで行っていたIT投資とほぼ同規模のサーバを現在は毎日追加している状況にある」という。
利用企業も増大し、新興企業に加え、歴史をもつ大企業である日本では日立製作所、東芝、シャープといった企業が利用している。さらに「世界の政府機関や教育機関の利用も増大している」と広がりを見せている。
そして、あらためて導入のメリットとして<1>初期投資不要で必要とするインフラに対する支払いだけで利用可能、<2>より安価なITコスト、<3>需要予測が不要、<4>低コスト、低リスクで素早く実験できることからイノベーションの増大、<5>付加価値を生まない「重労働」の削除――という5つのメリットを挙げた。
「導入企業として東芝メディカル、NASA、NASDAQ OMXがある。このうちNASDAQ OMXの導入では、オンプレミスのストレージを提供するベンダーとの商談では導入前の準備だけで数カ月かかるということだったが、われわれは最初の面談から稼働までを6カ月で完了した。導入コストもオンプレミスに比べて大幅に削減することにつながった。導入後の運用でも、本来のアプリケーション側ではなく、ストレージを管理するだけで重労働を強いられるが、その重労働から解放され、アプリケーションだけに専念できる環境を提供する」(Lyons氏)
AWSが提供するストレージサービスの主なものとしては、【1】オブジェクトストレージ「Amazon S3」、【2】アーカイブ、バックアップ用ストレージ「Glacier」、【3】Amazon EC2用のブロックストレージ「Amazon Elastic Block Service(EBS)」、【4】オンプレミスとAWSのストレージを接続するハイブリッドストレージ「AWS Storage Gateway」――の4つがある。
Glacierはアーカイブ用のテープ製品と競合となるサービスで、「データの格納は必要だが、頻繁にアクセスする必要がないユーザー向けサービス。データを復元させる場合、3~5時間の時間を要するが、テープアーカイブの3~4日に比べれば早急に復元できる」という特長をもつ。Storage Gatewayは、遠隔地のバックアップ、ディザスタリカバリ、データミラーリング、部門用ファイルサーバの大きく4つがユースケースとして考えられる。
価格については、初期導入コストは安価になるものの長期的に利用するオンプレミスと比較すれば高価になるのではないか、との指摘もあるが、「同一条件で比較することは難しいが、自分でストレージを購入した場合、提供されている容量全てがデータ保存用に利用できるわけではない。クラウドであれば、提供される容量=全て利用できるという点も比較すべきだ」とアピールした。
簡単に使うことができるのか、という質問に対しても、簡便な利用法となるべくアプリケーションベンダー向けにソフトウェア開発キット(SDK)を提供し、OracleやSymantec、EMCをはじめ多くのサードパーティからプラグ&プレイが豊富に提供されている点をアピールした。
AWSのストレージサービスを利用する大企業