6月6日、アマゾン データ サービス ジャパン主催のイベント「AWS Summit Tokyo 2013」の2日目の基調講演が行われた。
同社代表取締役社長の長崎忠雄氏がクラウドの導入事例をベースにした多様な利用シーンを日本での事例ととも紹介。長崎氏は「クラウドはこういう使い方しかないと思われている方が多いが、実はかなり多様な使い方がある」と強調した。
アマゾン データ サービス ジャパン 代表取締役社長 長崎忠雄氏
広がるカスタマーエコシステム
2日目の基調講演は、長崎氏がスピーカーとなったこともあって、日本のユーザー事例を交えながら、クラウドの多様性を訴える内容となった。
IaaS/PaaS「Amazon Web Services(AWS)」の日本でのデータセンター「東京リージョン」は2011年3月にオープンしたが、日本のユーザーだけで2万を超えるまでに拡大。ユーザーの中にはスタートアップ企業だけでなく、NTTドコモ、東京証券取引所、パナソニックなど大企業も含まれている。
「2万以上の顧客がいることは、われわれにとってプラスとなるだけでなく、カスタマーエコシステムが広がって、利用する際の敷居を下げることにつながる」と長崎氏はアピールする。
顧客獲得のベースとなる「顧客が最も重視している部分」として包括的なセキュリティ機能をアピール。IDやアクセス管理といったアクセス制御機能、暗号化、ネットワークとさまざまレイヤでのセキュリティを拡充し、第三者機関の認証でそれを裏付けているという。
価格についても、「他社の価格戦略とアマゾンの価格戦略は考え方が全く異なる」として、サービス開始以来、31回にもおよぶ値下げを行ってきた。
「外圧があって値下げをせざるを得ないということではなく、コスト削減努力で価格を下げることに成功し、顧客に喜んで頂いて、利用率を増やし、その結果、インフラの増強や拡張を実現して規模の経済が働くという歯車を作っていく」と価格引き下げが事業にプラスとなるサイクルを作っていると長崎市は説明する。
エコシステムはパートナーとの関係にもおよび、日本でもコンサルティングパートナー、テクノロジパートナーとジャンル別でパートナーを増強。これも顧客獲得につながるプラスのエコシステムだとした。
こうしたサイクルが回っているのに対し、「クラウドのメリットはパブリッククラウドによってのみ手に入る」と、長崎氏はプライベートクラウドではクラウドのメリットとされる初期コストがいらないことやリソース追加の自動化といったことが実現できないと訴えた。