筆者がまだ子どもだった1960年代、「Miss Pickerell on the Moon」や「On the Trail of the Space Pirates」、そしてRobert A. Heinleinの「宇宙の呼び声(原題:The Rolling Stones)」といった本の影響で、信頼できるガイガーカウンタ(放射線測定器)とツルハシを手にしてロケットに乗り込み、小惑星まで飛んでいくのが夢だった。これは当時、空想科学、すなわちサイエンスフィクションでしかなかった。しかしPlanetary Resourcesはこの数年のうちに、こういったことを科学によって実現する、すなわちサイエンスファクトにしようとしている。
2014年までに、Planetary Resourcesによる最初のLinux搭載小惑星探査ロボットが軌道に乗る見込みだ。
提供:Planetary Resources
ニューオーリンズで開催されたLinuxConにおいて、Planetary ResourcesのシニアエンベデッドシステムエンジニアであるMarc Allen氏と、航空電子工学エンジニア主任であるRay Ramadorai氏が壇上に立ち、小惑星マイニングを実現しようとする同社の大まじめな取り組みについて説明した。同社のトップにはX Prize Foundationの創設者であるPeter Diamandis氏や、米航空宇宙局(NASA)のフライトディレクターを務めていたChris Lewicki氏、Virgin GalacticのSir Richard Branson、GoogleのEric Schmidt氏とLarry Page氏などが名を連ねている。またスタッフにはNASAやジェット推進研究所(JPL)で働いた経験のある人材も多数含まれている。早い話が、同社には本物の専門家がおり、財政面での後ろ盾もあるということだ。さらに同グループは、この計画のためのリソースとサポート獲得の双方にクラウドソーシングという形態も採用している。
Planetary Resourcesは小惑星での採掘を行うだけでなく、それを安価に実現しようとしている。このためAllen氏によると、同社はCOTSのハードウェアを使用して、信頼性の高い宇宙機を低コストで開発する計画だという。これらの宇宙機がコモディティとなった暁には、最新テクノロジへの対応も迅速にできるようになる。それに加えて、たった1つの故障が致命的な大惨事を引き起こすようなこともなくなるだろう。Ramadorai氏は「このアプローチは宇宙探索と宇宙開発の商業化にとって必要不可欠なものであり、Planetary Resourcesの戦略において核となる部分だ」と説明している。