最近のニュースで印象的なのは、Microsoftの最高経営責任者(CEO)、Steve Ballmer氏の後任人事について、創業者のBill Gates氏が公の場で話したことだ。
CNET Japanの記事によると、Bill Gates氏は、長年の友人であり仕事上の仲間でもあるBallmer氏の後任となる多数の候補者に会っているという。
ZDNet Japanの人気コラムニスト、三国大洋氏の記事によると、BloombergがBingとXboxの切り離しの可能性に触れたすぐ後、野村證券米法人のアナリストが「切り離しが実現すれば2015年度に1株利益が現在の2ドル70セントから3ドル80セントにまで増加する」と予測。証券市場からも注目を集めている。
個人的な興味もあり、このあたりの話について、米国で人に会う時にやんわりと聞くことにしていた。BloombergでCharls Shwab氏が話したのと同様に、Bill Gates待望論を唱える人は少なくない。米IT系調査会社Constellation Researchのアナリスト、Holger Muller氏もその1人だった。
「Gatesがやるといいんじゃないか」(Muller氏)
Gates氏、Ballmer氏が見落としたものとは
米国人の中には、一度は追い出された格好になったSteve Jobs氏が、当時陥落寸前だったAppleを見事に立て直した記憶があるようだ。この10年のAppleを見れば、カリスマ創業者による再起というシナリオに説得力はある。ただし、少なくとも現状はGates氏本人にその気がないと伝えられている。
このMuller氏。「Gatesはインターネットを、Ballmerはモバイルを見落としたけどね」と厳しい指摘もしていた。
米ZDNet.comの編集長、Larry Dignan氏(左)とZDNet.comのRachel King記者
米ZDNet.comの編集長、Larry Dignan氏にも聞いてみた。「Microsoftのビジネスは、PC向けのWindowsやOfficeだけでなく、サーバやクラウドなどの企業向けサービスがある。さらに、Xboxやインターネット事業も抱えている。これを1人の経営者が束ねるのは難しい。タフな仕事になるだろうね」とコメントした。
巨大企業であるMicrosoftのトップには、富と名声の獲得という意味でロマンはあるが、その操縦方法はあまりにも難しい。株主は世界中におり、自らが批判の矛先になることも覚悟しなくてはいけない。
Microsoftのトップ人事に詳しいAllThingsDのKara Swisher氏は「今のところ最有力候補は現Ford CEOのAllan Mulally」だと話しているという。社内の候補の中では、Enterprise事業担当のSatya Nadella氏、NokiaのCEOを退任済みのStephen Elop氏の名前も挙がっている。VMware元CEOで現PivotalのCEOを務めるPaul Maritz氏も候補の1人だ。