オンプレミス、パブリック、プライベートの組み合わせで提案
--顧客のトラステッドパートナーになるという目標は、現在の日本マイクロソフトのエンタープライズ事業部はどの程度実現できてますか。
まだ道半ばです。大体、3年くらいかけて全ての顧客にビジネス課題を解決するような提案ができる組織へと変わっていくまっただ中にあります。
幸いなことに顧客のビジネス課題を解決するための強みをMicrosoftは持っていると思っています。現在のシステム提案は(1)オンプレミス、(2)「Windows Azure」や「Office 365」のようなサービスも含めたパブリッククラウド、(3)パートナーの3つのいずれかです。ビジネス課題を解決するという点で言えば、ITの変化に合わせてどれか1つに変えるということは考えにくい。この3つをうまく組み合わせることが現実的です。この3つの組み合わせができるのはMicrosoftだけです。
--3つを組み合わせた事例はすでに出ているのでしょうか?
トヨタ自動車が全世界で導入した20万人の社員がオンプレミス、クラウドを組み合わせた共通の情報基盤を利用する事例があります。トヨタは日本国内ではオンプレミス、北米ではOffice 365を活用するといった組み合わせによって、全世界の情報基盤の共通化を実現しています。グローバル化は、多くの企業の皆様が抱えられている課題ですから、参考になる部分も多い事例だと思います。
また、すでに発表しているように、今年はWindows Azureの日本のデータセンター、日本リージョンが稼働します。クラウドのパフォーマンスについては問題視される顧客は少なくなっていますが、セキュリティなどの面から、金融業の顧客から、「どこにデータが置かれるのか?」という声が挙がっていました。日本リージョン開設でこの問題がなくなりますから、クラウドビジネスに弾みがつくことになるでしょう。
トヨタ自動車が導入した製品群(2012年10月2日の日本マイクロソフト主催の記者発表会から)
--データセンターの場所について、米国の国家安全保障局(NSA)が各国の首脳や大手IT企業を含め、世界的に情報収集をしていた問題を気にしている企業が多いということですか。
そういう顧客はほとんどいません。初期にあったクラウドへの不安は減っていますし、クラウドが全くない提案を求める顧客もいないと言っていいくらい、クラウドは浸透しています。クラウドだからというのではなく、クラウドを使いこなして、顧客の問題解決ができる提案が求められていると思います。