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ITの提案から価値の提案に転換を
ITを取り巻く環境がクラウド、モバイル化によって大きく転換したことで、Microsoftは大きな転換期を迎えている。好調と言われるエンタープライズビジネスも例外ではなく、転換期を迎えている。
日本マイクロソフト執行役常務 エンタープライズビジネス担当の小原氏
現在、エンタープライズビジネスを統括する日本マイクロソフトの執行役 常務でエンタープライズビジネスを担当する小原琢哉氏は「ITに関する相談にとどまらない、ビジネス改善にともなう相談ならなんでもできる、顧客のトラステッド(信頼される)パートナーへと転換しなければならない」とし、組織を大きく変えていく必要があると話す。
小原氏が考える日本マイクロソフトの新たな組織像とはどんなものか。
--現在、Microsoftは大きな転換期を迎えています。最高経営責任者(CEO)の Steve Ballmer氏が退任を表明し(Microsoft幹部のSatya Nadella氏が新CEOに就任が決定)、ビジネスにおいてもPCだけでなく、スマートフォン、タブレットの利用割合が増えています。その中でエンタープライズ事業の現状や今後の方向性を教えてください。
順調に目標達成できました。確かにMicrosoftは大きな変革期を迎えています。私は2012年の10月に日本マイクロソフトに入社しました。社内で「こういう変化は過去にもあったことなのか?」と聞いてみましたが、「Microsoftの設立以来、一番大きな変化ではないか」という答えが返ってきました。現在はその変化のまっただ中にあります。
「Microsoftはデバイス&サービスカンパニーになる」――これが現在のメッセージです。これまでのようにPCベースで、企業内で利用するWindowsという形をクラウドが劇的に変えていこうとしています。ビジネス効率を高めるために、デバイスはPCだけではなく、あらゆるデバイスへ。社内に座ってPCを利用するスタイルから、タブレットやスマートフォンを利用して会社の外でも作業することが当たり前になりました。
従来、外でモバイルデバイスを利用するといえば営業職が想定されていました。ところが、ワークスタイルが変化したことで、業種を問わず柔軟なワークスタイルが当たり前になりました。会社で利用するデータは、ローカルで閉じたものからクラウドに接続し、どこからでも柔軟に仕事ができます。どこにいても仕事ができる環境となったのです。
そうなると利用するデバイスも、タブレットとPCの良さを併せ持った“2in1”が必要になるとMicrosoftとして提案したのが「Surface」です。テレビコマーシャルでもワークスタイルが変わったことを意識してアピールする内容となっていました。
--日本マイクロソフトのエンタープライズビジネスは、この大きな転換期にどう変化していくのでしょうか。
これまでのエンタープライズビジネスは販売形態、ソリューション別の組織となっていました。例えば「社内に残っているレガシーシステムをどうリプレースするのか」といった顧客の課題に対して、あくまでもITの観点から解決策を提案するといった具合です。これを大きく変えます。3年程度の長期プランで、顧客のビジネス課題を解決する提案ができる組織へと変えていきます。
これまでの「ITをこうしたいんだ」という顧客の悩みに応える体制から、もう一歩踏み込み、顧客の経営課題を解決するためにITをいかに活用するのか――経営課題をITによってどう解決するのかを提案することができるパートナー、トラステッドパートナーにならなければならないと思います。