IT企業のリーダー選び--社内のベテランか、社外の変革者か

Patrick Gray (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2014-02-28 07:30

 General Motors(GM)とMicrosoftはともに最近、新たな最高経営責任者(CEO)を発表した。いずれの人物もそれぞれの会社におけるベテランである。Microsoftの場合、CEO探しは十分にオープンであり、長期に及ぶものとなった。候補者は最終的に決まったSatya Nadella氏をはじめとする、社内の複数の人物の他に、少し意外だがFord MotorのCEOであるAlan Mulally氏といった人物も含まれていた。


Microsoftの新CEOであるSatya Nadella氏
提供:Stephen Shankland/CNET

 こういった人事の大変さは、CEO以外の役職を雇用したり昇格させる場合でも常に持ち上がってくる。何年もの経験を有している社内のベテランを昇格させるのがよいのだろうか、それとも新たなアイデアや幅広い経験を持つ外部の人材を雇用するのがよいのだろうか?本記事ではそれぞれの長所と短所について考察する。

社内のベテランを昇格させる

 社内から昇格させる際の明白な利点は、候補者の実績や経歴がよく分かっており、評価も容易だというところにある。候補者の直近の同僚や直属の上司には事実上、無制限に接触でき、候補者が管理していた部門の財務データから、最近の従業員評価までのすべての情報を入手できるのだ。候補者が社外にいる場合、成果を誇張したり、弱さを隠したりする可能性があるものの、社内にいる場合はその同僚の何人かに内線電話をかけるだけで、社外では得ることの難しい洞察が得られる。

 社内の候補者は、長年の経験を通じて培ってきた、社内にしっかりと張り巡らされた人脈を持っている場合が多い。理想的には、社内の候補者はさまざまな業務を経験してきており、それら個々の領域が会社全体にどのように貢献しているのかという知識を得ているうえ、影響を及ぼしたり急進的な変革を実施するのに必要となる、部門をまたがった関係を確立してもいる。

 また、社内の候補者は企業文化や業務の進め方、社内政治について既に理解していると期待できる。社外から雇用した人物は経費報告書の記入内容から、トップ層にいる主要な調整役が誰であるのかを知るのに数週間かかるかもしれないが、社内から昇格させた人物はその時間を使って自らの新しい役割に注力できるのだ。

社外の変革者を雇用する

 何を目指すかにもよるが、社内からの昇格の利点は最大の弱みにもなる。社内での信奉が厚く、業務の進め方や社内政治に長けてもいる人物は、会社の変革を試みるのではなく、時代遅れなやり方で業務を進めて時間を無駄にするC級チームのB級プレイヤーでしかないかもしれない。

 同様に、社内で築き上げている人脈と知識が候補者の思考に足かせをはめる可能性もある。コンサルティング業における大きな喜びの1つとして、外見上は無知な質問をリーダーに投げかけることで、長期にわたって培われてきている信念の再考を促せるというものがある。外部から雇用した人物もこれと同じく、古くからの同僚を批判したり、自らが過去に携わったものごとに疑義を表明することなく、業務部門の存在意義や業務の進め方、戦略について疑問を投げかけることができる。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]