三国大洋のスクラップブック

マイクロソフト新CEO就任その2--MS向けの仕事を倍以上に増やすゲイツ氏の狙い

三国大洋 2014年02月12日 18時25分

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 年間で数千億円という利益を生み出すWindowsとOfficeという2つのビジネスを擁護しつつ、同時にそれをコモディティ化する力を持つインターネットサービスで成功を収めなくてはならない――Microsoftにとって状況は困難であり、それが「反主流派」である新たな最高経営責任者(CEO)を生む背景の1つになったことを紹介した前回に続けて、Microsoftの新CEO就任にまつわる話を記す。



[Susan Hauser interviews Microsoft CEO Satya Nadella] (廊下を歩きまわりながらのインタビューよりもよほどリラックスしてかつ才気煥発にみえる)

ついに重い腰を上げたビル・ゲイツ

 まずは経営トップの布陣について。分かりやすい点からいくと、CEOとしての経験を欠くNadellaを、Bill GatesとJohn Thompson(取締役会の新会長)の2人でサポートというトロイカ体制にまずはなるのだろう。

 それぞれの役回りについては、対投資家がJohn Thompson――The New York Times(NYTimes)によると、Gatesは近年この方面(対Wall Street)にはすっかり関心を失っているらしい。またCNETのCharles Cooperは早い段階で、NadellaがCEOになった場合、Amy HoodというGoldman Sachs出身の女性最高財務責任者(CFO)の影響力が高まる、などと指摘。 Hoodは「自分たちと同じ言葉を話す」(=話が通じる)人間としてWall Streetから受けが良く、「Microsoftが前四半期にアナリスト予想を上回る業績を出せたのも、このHoodの力が大きい」という外部の評価もあるという。またJohn Thompsonは、パートタイム(別に自分の会社がある)だから、関連する実務の大半はこのHoodが仕切ることになるのだろう。

 一方、パートナー(OEM各社など)や外部開発者の相手は、エンジニア出身のNadellaの担当。ただし、ここ10年近くほとんど変わっていない株価を大きく上げるには、単に「人当たりが良い」「話が通じる」などだけでは不十分……やはり「別の何か」が必要になろう。

 NYTimes記事にあるグラフをみると、ここ3年ほどで時価総額は1.5倍くらい増えてきているけれど、それでも2013年のそれはやっと2003~2004年の水準に戻ったにすぎない。またBloombergのある記事には「過去10年間のMicrosoft株価上昇率は88%、それに対してS&P 500は91も上昇」などと書かれてある。

 Bill Gatesにとってはこの「別の何か」こそ大きな腕の見せどころであり、同時に大きな期待がかかる部分でもあると思われる。

 Gatesの現在の本業(自分たちの財団での貧困撲滅や病気根絶などに向けた活動)に対する本気度は相当なものらしい。Microsoftの後継CEO選びの動きをずっと追っていたRe/codeのKara Swisherは「たぶん1月中の新CEO発表はない。もしあるとしても月末だろう」などとする情報筋の話を紹介していた。

 その理由というのが「Gatesは1月は動きがほとんど取れない。財団の年次報告書公開と、ダボス会議への出席と予定が詰まっているから」というものだった(事実その通りになった)。また、そんな忙しい身のGatesが、わざわざニューヨークに出向いて深夜のテレビトークショーに出演し、財団のことやリリースされたばかりの年次報告書のPRをしていたところからも、その本気度が感じられた。


[Bill Gates' Viral Video: GatesLetter.com] (「これくらいやらないと若い人には・・・(関心を持ってもらえない)」?)

ゲイツ氏はこれまでの倍以上の時間をMSに

 そういうGatesが、これまでの倍以上の時間を割いて、Microsoftの仕事に関わることにしたという(Microsoft関連の仕事に費やす自分の時間を、これまでの5分の1以下から3分の1以上に増やす、とNYTimesなどには書かれている)。これは大変なことだと思う。

 Gatesがなぜそういう覚悟を決めたかはよく分からない。「Gatesが早くからNadellaを次期後継者に推していた」とか「NadellaもGatesの指導、助言を望んだ」とか、いくつかヒントとなりそうな話は目にするが、それだけが理由だとも思われない。

 いずれにせよ、Gatesが以前にも増して深くコミットするとなると、「会長職」の肩書きのままでは新しい経営陣が「Gatesの傀儡(かいらい)」と受け取られかねない(それだと、いままでと何が違うんだ?と余計な懸念を持たれかねない)。そういう配慮から会長職を降り、同時に自分の好きなことに専念できる新しい立場を選んだ、という可能性は考えられる。


[Bill Gates welcomes Satya Nadella as Microsoft CEO]


 このビデオの中でGatesは「製品グループの連中を話をする時間をたくさん取る」などと述べているが、いくらミクロマネージメントが好きだとしても、ほかにいくらでも務まる人がいそうなプロダクトマネージャーのような立場に身を置くとは思えない。

 そんなふうに考えてくると、やはりGatesの役回りは「別の何か」――つまり、Nadellaと一緒に、ビジョンと呼ばれるようなものを作ること、そしてそれを実現するための筋道(戦略)を考えること、となるのだろう。

 こうした点に関連しそうな面白い指摘を、意外な人物がしているのを見つけた。

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