三国大洋のスクラップブック

ビッグデータと観察--“人間を理解する”ための2つのアプローチ - (page 2)

三国大洋

2014-03-03 07:30

 いずれにしても、ビッグデータというコンセプトについては、そろそろ、そうした別の何かが注目される時期に差し掛かってきているのかもしれない。

 最近、Businessweekに「Heidegger's Marketing Secrets: What German Philosophers Know About Selling TVs」という見出しの記事が出ていた(ウェブでは2月20日付公開)。採り上げられているのは、ReD Associatesというデンマークの経営コンサルティング会社。Christian MadsbjergとMikkel Rasmussenという共同創業者が書いた『The Moment of Clarity』という書籍の出版にあわせての取材、記事掲載かと思われる。

ReD Associates - Looking for someone remarkable from ReD Associates on Vimeo.

 この記事で目を惹くのは、総勢70人(コペンハーゲン以外にニューヨークにも拠点がある)という、この小さな会社がAdidusSamsungIntel、LEGOといった大企業と取引してきているというところ。だが、本当に面白いのは同社の課題へのアプローチの方であり、「社会学、哲学、政治科学、歴史、人類学などを専攻した大半は大学院卒のコンサルタントが何カ月もフィードルワークをして集めたデータや観察結果をもとに解決策を見つけていく」という。

 また「企業向けに人類学的なサービスを提供する会社(corporate anthropology firms)がますます多くなっている中でReDの強みは集めた情報から一番賢いもの(解決策)を導き出す点」などともあるところからは、同様のサービスを提供するところが増えているということも伺える。

 こうした類の話に付きものの“お土産(takeaway)”としては、たとえばAdidasの幹部が「五輪のテレビ中継を1時間以上観る16歳(の若者)は世界的に見てもほぼ存在しない」とReDから聞かされて、「トップアスリートに製品を提供するスポーツ用品メーカー」という自己定義(思い込み)を見直すことになった。その結果、それまで無視していたヨガをする女性の市場(全世界で1億人)などにもアクセスするようにもなった、などといったものがある。

 LEGOの場合は、テレビゲームなどと対抗しようと、すぐに遊べるもの――オリジナルよりも短時間で作れる大きめのブロックのセットやアクションフィギュア(キャラクター、こんな感じのものか)などまで出していたが、実は子供たちが望んでいるのは正反対のもの――じっくり時間をかけ、頭を使わないと作れないようなもの、友だちに見せたら“すごい”と思われるようなものが好きであることがわかり、LEGOはその報告を受けて製品の品ぞろえを大きく見直すことになった、などとある。

 ビッグデータというと、なんとなく“神の視点”といった言葉を想い浮かべてしまうことがよくある。神が大げさだとすれば“鳥の視点”(「俯瞰」)と言ってもいいかもしれない。Google Mapの交通状況などが頭にあるせいだろうが、いずれにせよ「対象をズームアウトして観て初めて見えてくるものがある」ということかと思う。

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