三国大洋のスクラップブック

「夜明け前」のウェアラブル端末--キラーアプリの方向性を考えてみる - (page 2)

三国大洋

2014-04-09 07:30

 Googleの音声認識のレベルを考えると、簡単な入力なら日本語でも腕時計からできてしまいそうだが、同時にフラストレーションがたまって結局スマホ本体を取り出す、という場面も多いかもしれない(メールやSMSの返事で「了解」と返すくらいは簡単だろうが、それ以上の込み入ったことはどうだろう? といったこと)。

 移動や屋外にいることの多い(スマホを取り出しづらい状況が多い)人などは話が別かもしれないが、「Google Now」の通知を受け取る程度なら、目の前のテーブルの上にスマホを置いておくだけで事足りてしまう人も少なくないのではないか、などと感じてしまう。

 またアクティビティトラッカーの類いにしても、自分の睡眠量や運動量、カロリ消費量あたりを数値化、記録というだけでは、ストイックな人にはそれでいいかもしれないが、不精者にはなかなか強い動機付けにはなりえなさそう(iPhoneの睡眠記録アプリを試しても結局2週間と続かず、「いっそのこと、センサを組み込んだマットレスでもあった方がいいんじゃないか」と思ったくらいなので)。

 そんなことをぼんやり考えながら、Healthbookの画面とされる画像を眺めていて、ふと気づいたことがある。それは、このデータを一種のトリガーにして他の人とのコミュニケーションができたらどうか? といったことだ。

 たとえば、端末着用者の脈拍(心拍数)や血圧が急に上がった時には、その通知が本人だけでなく、周りにいる他の人にも送られて、「大丈夫?」と気遣う返事が返ってくる、といったもの――その際にはLINEのスタンプのようなものに“翻訳”されて通知されるといいかもしれない。

 発汗量が急激に増せば、その人が何かに「緊張しているのかな?」という気配が伝わるかもしれないし、親が子供の血糖値が下がったのを察知して「何か食べろ」と指令を送ることなどもできるかもしれない。

 また、これはどちらかというとInternet of Things(IoT)寄りの用例となろうが、たとえば就寝後に身体の動きが休止したことを示すデータがウェアラブル端末からスマホに送られたら、自動的に(メールなどの)通知をストップさせる、などといったことも比較的簡単にできるかもしれない。

 実用に際しては、まず「誰とどんな情報をどの程度共有するか」などよく考えて確認しながら進めないといけなそうなこと(プライバシーに直結すること)がいろいろとありそう。

 だが、いずれにしても、そうした「センサの塊」=「データの自動入力口」としてウェアラブル端末が機能し、さらにその上で人やモノとのコミュニケーションを媒介するツールとして活用できるような方法が見つかると、こうした新種の製品が、いま以上に長く使い続けられる「日用品」に変わるかもしれない…。今はまだわからないことも多いが、とりあえずそんな感触がかすかにある。

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