#6:Microsoftにかかっていたブレーキを解放した
Nadella氏の本当の力は、Microsoftで既に進行していたオープンでクロスプラットフォームな革新の奥深さを理解し、それをデバイスやサービスに、そしてMicrosoftの定評ある、クラウドやモバイルに対する積極的な戦略を生み出す青写真にどう組み込めばよいのかを理解したというところにあると実証されるかもしれない。
結局のところ、5週間ではOffice for iPad(あるいは「OneNote for Mac」)は開発できない。「App Store」でOffice for iPadを認証してもらうのがせいぜいだろう。おそらく、Office for iPadのリリース日はこの認証の進み具合に基づいて決定された(Officeの開発チームは過去に、ほとんど仕上がっていた「iOS 6」版を破棄し、「iOS 7」版を開発している)。また、サムスンに対して同社の「KNOX」が扱う文書をセキュアにするためにMicrosoftの権利管理サービスを使用させたり、LiveScribeのプラットフォームで新しいOneNote APIをサポートさせるといったことも、一朝一夕に実現した話ではなかったのである。さらに、Windows Phoneと「Windows」のライセンス料金を引き下げるという方針は、前回の年次株主総会においてBallmer氏によって明示されていた。
Nadella氏の今後の功績には、同氏自身が推進したプロジェクトに加えて、Ballmer氏がまいた種を刈り取るというものも含まれるはずだ。しかし、Build 2014を見る限り、Nadella氏のおかげでMicrosoftに対する人々の信頼が取り戻されたのは明らかだ。特にそこで働いている人々にとってはそう言えるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。