利用中、もしくは検討中のエンタープライズソフトウェアベンダーに関して米ZDNetが実施した調査で、Adobeが高い評価を得た。Microsoftは圧倒的な勢力を誇っており、SalesforceやWorkdayなどの企業はSAPやOracleといった大手との差をじわじわと縮めている。
エンタープライズアプリケーション分野の状況は変化しているが、確固たる地位を築いた企業が強さを維持する中で、MicrosoftとAdobeが勢いづいているようだ。しかし、テクノロジを購入する側の企業はあらゆる選択肢を検討し、新たな勝者を選ぼうとしている。
米ZDNetの「TechPro Research」調査で上位にランクインした主要エンタープライズソフトウェアベンダーは、以下の通りだ。
利用中、または検討中のエンタープライズソフトウェアベンダー
それでは詳しく見ていこう。
Microsoftは「Windows 8」と同社のモバイル戦略で大きな打撃を受けているが、同社のエンタープライズ部門は好調だ。むしろMicrosoftは、今回紹介するエンタープライズソフトウェアベンダーの中でもかなり有利な立場にいる企業の1社かもしれない。同社はクラウドへの大規模な移行を行っており、インストールベースも盤石だ。また、「Windows Server」「Lync」「SharePoint」「Exchange」で2桁の成長を記録している。直近の四半期には、「その他」の製品やサービスの売上高(その大半は「Office 365」や「Microsoft Azure」といったクラウド製品)が31%増加し、19億ドルに達した。
Adobeも優位に立っている企業だ。なぜだろうか。Adobeは同社よりはるかに大規模な競合がひしめく分野で、最も包括的なマーケティングクラウドスタックを有している。Adobeは常に時代の先を行っており、Oracleのような巨大企業が他社の買収に着手するずっと前から、マーケティングクラウドの重要な構成要素を買収してきた。さらに、クラウドモデルへの移行とライセンシングからの脱却をほとんどの企業よりうまく進めてきた。多くの点において、Adobeのクラウドへの移行を目の当たりにしたことで、ほかのエンタープライズソフトウェアベンダーは自社でも同じことが可能だと考えるようになった。
SAPはクラウドコンピューティングとサブスクリプションモデルへの移行を積極的に推し進めており、インメモリデータベース「HANA」を、同社が提供するすべての機能のアナリティクス基盤として宣伝している。SAPはSuccessFactorsとAribaを買収してクラウド市場に参入した。また、顧客がオンプレミスソフトウェアからサービスへ移行するためのプログラムも提供している。ユーザーインターフェースにもさらに力を入れるようになっており、この変化は歓迎された。しかし、SAPの最大の課題は、WorkdayやSalesforceのような競合に顧客を奪われている融通のきかない巨大企業という評判を払拭することだ。総合的に見ると、SAPには多くの武器があるが、テクノロジの方向性は流動的かもしれない。SAPのテクノロジと開発を統括していたVishal Sikka氏が、先ごろ同社を去ったからだ。